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ホルテとルービンはともに高い意識を持って任務にあたっていることが、随所に描かれています。ルービンがルルド艦と交信するときに、久々に本格的なククト語が登場しますが、すぐに彼女は地球語に切り替えます。いうまでもなく、人質として残ったホルテの身を案じての行動です。ルルド艦内でのいんぎんな対応に不信感を抱きながらも、停戦の言質をもらったルービンの行動力はたいしたものです。一方のホルテもジェイナスの秘密を探ろうと、機転を働かせます。部屋を抜け出し、通路を悠然と歩く彼女の姿は、堂々たるものです。
そしてブリッジへと舞台は動くわけですが、ここからの一連の場面は、今後の物語の方向性を明確に示していました。そのきっかけとなるのが他ならぬおちびさんであるあたり、巧みな演出だと思います。そう、子供は本来純真なのです。突然の事態に対処できないスコットでしたが、ロディの一言で立ち直り、自分たちのことを話し出します。
あまりの現実にホルテは一瞬だけ感情をあらわにします。ここで彼女が見せる涙は、現在の子供たちに対する、大人からの形を変えた贖罪のメッセージと取るのは、ちょっと筆者の想像が飛躍しすぎでしょうか。ともかく、ここに至って彼女は使命感を燃やすことになります。ラピスの保護下に入るという説得は、確かに理にかなった話ではあるのですが、どうやら彼女たちは、子供たちの意志の力を十分考えられなかったようで、ここから再び行き違いが生じてしまいます。
その結果がバーツとケンツの行動となるのですが、あれはあまりにも悲しいとは思いませんか? あのケイトのメッセージを子供たちは大切にしてきたはずなのに…。もちろん「再び13人!!」にはそれは登場しなかったので関係ないと言われればその通りですが、「大人の世界」に対抗するためにとる手段が、結局「大人の世界」の手段でしかない(しかも立派な戦争犯罪行為)というのは、辛い。バーツよ、ニヒルと冷酷とは違うということを示していたのは君自身ではなかったかい?
そんな彼らの仕打ちにホルテは「それだけ心が痛めつけられているのだわ、なんて不幸な子供たち。」と答えます。確かにその通りであって、生き抜くためにここまでせざるを得ない子供たちをこそ、哀れむべきなのでしょう。
ようやくルルドの芝居が始まります。冷徹な軍人として描かれているのですが、意外なところから彼の不安が始まります。おそらく、彼の家族がいたステーションというのは、バーツたちが赤ちゃんを見つけたあの場所なのでしょう。ここで彼は(作品中で)初めて人間らしい一面をのぞかせるのですが、奇妙な停戦条件とともに、それがどう物語と絡むのか、注目したいと思います。
その条件の不自然さに言及するのは、他ならぬシャロンでした。新シリーズになって、彼女の動きが微妙に変化していることには以前から注目しているのですが、この鋭い反応は、やっぱり今後の動きと関係しているとしか思えません。シャロンがどんな働きを見せるのか、いよいよ目が離せなくなりました。
スコットは、一見したところ相変わらず「きれいなホルテさん」という視点で動いているようで、まだこの件に関して子供たちから信頼を取り戻したとはいえません(あれがクレアの胸でなくて残念、…いや、もとい、よかった)。ただ、ロディの言うとおり、すぐに人を信用できるところがスコットのとりえでもあります。そして、ブリッジでのシーンからも分かるように、この「銀河漂流」の旅の中で一番心を健全に保ってきたのは、(年長組の中では)おそらくスコットなのでしょう。彼が狂言廻しだけの役割から、その素直さも発揮できるように戻ったときに、この物語はハッピーエンドへと動き出すのかもしれません。
マルロとルチーナは、出番こそ少ないものの、赤ちゃんが来てからの変化が丁寧に描かれていて、好感が持てます。思いもかけないホルテの涙に他の子供たちが立ちつくす中、2人が「おばちゃん、なかないで」と声をかけるシーンは、個人的には新シリーズ屈指の名場面だと思います。
ところで、新シリーズでロディ以上に影の薄いのがカチュアです。彼女はいつ物語に加わるのでしょう。…と思っていると、バーツたちに連行される前にホルテが彼女の存在に気づきます。あのたった一言の会話、そしてその後のホルテの表情。まだ、カチュアにはなすべき役割があるように思えます。
前回やってきた「大人の世界」が、これからもジェイナスを支配することがはっきりした回となりました。残念ながら、私が期待していたのとは違う視点、すなわち「大人たちの世界の中で子供たちがどう動くか」という物語が、これから始まるようです。それはつまり、子供たちが自由に動ける世界が、それだけ少なくなったことに他なりません。
それを簡単に否定するのではなく、そこから何が生まれ出るのかを期待したいと思います。これまでもあっと驚く仕掛けが私の期待と予想を(良くも悪くも)裏切ってくれていました。今や17人+1匹という大所帯(?)となったジェイナスがどんなドラマの舞台となるのか、楽しみにしています。
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