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艦内に水が漏れ出すという事態は、およそ「船」と名前が付く物にとっては、ほとんど最悪の事件です。特に宇宙船においては、それがコップ1杯であったとしても、船体を使用不能に至らせる可能性があります(大真面目)。ある意味では敵襲以上の危機に子供たちがどう挑むかが、今回の見どころとなりました。
今回の事件の立て役者はシャロンとケンツの名コンビでした。彼ら以外の組み合わせでは、この話はおそらく成立しなかったでしょう。2人の活躍に、まずは拍手を送ります。次第に上がる水かさに2人は焦りの色を強めます。そんな状況の中でもシャロンの機転の良さはたいしたもので、ケンツの軍服を破れた配管のパッチに使おうとするなど、懸命の努力を続けます。ただ、それ以上に水圧が高かったのは、不運としかいいようがありません。
現場に残ったスコットは、2人がいよいよ危ないと知るや、ハンマーで強化ガラスを破ろうとします。もし、ガラスが破れれば2人は救出できますが、ジェイナスの損害は計りしれません。でも、なんとかして2人を助けねばという一心で彼は行動します。ある映画で、同じような状況になった乗客を艦長が冷徹な判断で見殺しにするという場面がありましたが、それができないスコットだからこそ、子供たちのリーダーなのです。
ハンマーでもだめならバズーカ砲か、という場面でバーツが登場して、現実的な方法で救出を始めます。エアロックなら水をためる十分な空間があると気づいたロディの発想は流石です。一方、マキは配水の元栓を探し出し、それを急いで締めに向かいます。これだけ役者が働けば、後は大丈夫。かくして、エアロックにできた臨時の貯水池を前に、子供たちは出来事を振り返ります。
…と、そこに警笛を吹きながら現れたのは青いガウン(寝間着)をはおったジミー。シャワールームからの散水ホースの先端に立って、一体何を始めるんだろう。おっとぉ、ジミーが帽子を自ら投げたぁぁ!!
そしてガウンを脱ぎ捨てると、なんと、水着姿ではないかぁ! さぁ、そして、ジミー、跳んだぁぁっ!! …もはや何も言いますまい。いかに伏線があったとはいえ、この場面はバイファム屈指のサプライジングシーンとして、私の記憶に残ることでしょう。しかし、いつあんなアイデアを思いついたんだろう。ジミー、恐るべし。
序盤では、配管の異常を印象づけるために様々なシーンが挿入されます。そこに体重計というエピソードを加えた所がミソで、これによってストーリーに柔軟さが増しています。しかし、女の子4人(カチュアは慎重に外されました)の中で一番スレンダーに見えるシャロンの体重が一番増えているとは、ちょっと意外でした(やはり女性に体重の話はタブーですね)。でもよく考えると彼女たちはみんな成長期。体重が増えなかったマキ、君が一番不健康だ!!
ここでシャロンが体重計にしかけた悪戯がもとで、スコットがバーツに指摘された運動不足を解消すべく早朝ジョギングを始めます。しかし急に5kgも体重が増えて、不思議に思わないのだろうか。その真相を知らないのは、やっぱりスコットただ一人なのです。
今回の物語は主に夜間から早朝にかけて進行したため、久しぶりに子供たちの寝巻姿が登場しています。みんな相変わらずかわいいですが、やっぱりシャロンは「パンツ」をはいていないんでしょうか。
冒頭、ジェイナスのバーチャル・ビューが久しぶりに活用されています。しかし、それを使っていたのがジミーだったとは…。スコットに優しくたしなめられてしょんぼりと帰るジミーの姿は、ちょっと寂しげでした。ビーチチェアにちょこんと座って日光浴を楽しむジミー。この意外なシチュエーションがあんな結末を呼ぶとは、想像できませんでした。
一方、ボギーの不調は相当深刻なようで、子供たちもボギーをあまり信用していない場面がみられます。これが重大なことにならなければいいのですが…。
ジミーが飛び込んだ即席プールは、場所によって相当深さが違うのでしょうか。そうでないと彼は首の骨を折って即死です。また、子供たちはどうやって水着を調達したのでしょうか(ジェイナスの備品やローデンからの支給物資に、そんな物があるとは思えない)。そもそも、あの状態で敵が来たら、エアロックを開けた瞬間に貴重な水が蒸発してしまう…。また、(前回から含めて)丸4日敵の攻撃がないのは、物語始まって以来かもしれません。
そんなことは気にしないで、子供たち本来の姿を見てほしい。スタッフはそんな気持ちでここしばらくのストーリーを作っているのかもしれません。
私もこうした彼らの姿を見るのが大好きです。ただ、そうした描写が物語の流れの中で自然に成立していたからこそ、バイファムという作品が私にとってかけがえのない作品となったのも事実です。それゆえ、前回や今回のように(厳しい見方をすれば)反則すれすれの舞台設定は、確かに楽しめるけど、バイファムそのものの楽しさではないなぁと感じる部分もあります。これは私の思い入れの部分も多分にあるのでしょう。皆さんは、如何ですか?
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