新作における舞台設定は、極めて特殊な状況となるはずです。ちょうど前作での「すきま」ともいえる時期・空間を狙っているとはいえ、多くの面で前作の設定を保ったまま、視聴者側の時代のみを13年進めなければなりません。もちろん、前作の設定を大胆に無視して新しいバイファムの世界を作り出すことも可能ですが、できればそんなことにはなって欲しくない、というのが前作ファンの願いだろうと思います。
それでは、前作と新作を結ぶ設定は一体どうなるのか。私の目下の最大の関心事はここにあるといっても過言ではありません。ここでは前作23話終了時点での、子供たちを取り巻く環境を確認しながら、いくばくかの予測を試みてみましょう。
戦況
ローデン大佐たちが去ったので、ジェイナス号は再び13人ぼっちの状態だが、地球軍がそれほど遠くないところにいることがわかったので、子供たちに以前ほどの緊迫感はないかもしれない。もっとも、タウト星に捕虜となっている両親たちの救出作戦のことで、あれこれ頭を悩ませているはず。この時点では、謎の石版の役割について子供たちはまだ何も知らないが、ローデン大佐の「ガーディアン」という言葉はかなり浸透しているはず。新型RVトゥランファムは、まだ実働体制には至っていないが、既にシミュレーターによる訓練は始まっており、ひょっとしたら宇宙空間でも動作しているかも。おそらくはこの絡みでケンツ軍曹が活躍するエピソードが生まれそうな気がするのだが。
子供たちの日常
スコットはようやく指揮官として自信をつけ始めた頃(とはいっても頼りなさは相変わらず)。ロディ・バーツ・マキはタウト星攻撃の準備に没頭している時期。クレアはそのまま。フレッドもおそらく変わらず。ケンツはトゥランファムのシミュレーターに夢中かもしれない。ひょっとしたらカチュアもこっそり練習しているかも。シャロン・ペンチ・ジミー・おちびさんたちは、きっとそのままだろう。
OVA(消えた12人)では、この時点で既にフレッドとペンチがアツアツになっていたが、TVストーリーでは、まだフレッドのとろいモーションにペンチが気づいているかどうか、といった感じ。新作ではどうなるかが興味深いところ。ロディとカチュアの関係は、17話でのエピソードがそろそろ影響を与える時期だと思われる。ほかののカップル(もどき)は、この時点では特に進展がなかったはず。新作の中で何らかのエピソードが加わるか。
補給物資がかなり積載された(23話)ので、生活は以前より楽になっているはず。当然のごとく、これらから騒動が起こると期待したいのだが。ミシンを巡って、クレアの家事が苦手な点がクローズアップされる(もっともそこが彼女の魅力にもなる)といったエピソードがいくつか出てくるかも。もちろんエロ本話が出ないわけがない、と信じたい。
ジェイナス号・コンピュータ
前作放映当時としては極めて綿密なコンピュータ(情報)に関する設定の基にジェイナス号は航行していたが、果たして当時の設定がそのまま新作にも生かされるか、とても興味深い。少なくともCRT表示は前作から大幅に改良されると思う。
もし、ジェイナス号の航行システム設定に変更があれば、子供たちの役割も微妙に異なってくるので、基本的な設定は変えないと思われる。一方で、現在では陳腐になったりした設定も多く、「コンピュータ世代の子供たち」を舞台設定の前提条件にしていたバイファムが、この辺りをどう乗り越えていくのだろうか。
また、前作で登場したジェイナス号内部は、全デッキのほんの一部であり、それ以外の場所をもとにしたエピソードが登場する可能性は高いと思われる。とにかく、そこにしか新しい「何か」を入れ込む場所は見あたらない。
敵/異星人/ククトニアン
他のコーナーでも述べたとおり、新作ではジェイナス号に新たなククトニアンが乗り込むことになる。しかし、23話終了時点ではカチュア1人のみがククトニアン。そして彼女は敵ではない。それ以外に異星人に関する情報を、13人はほとんど何も持っていないはず。この辺りが新作のキーポイントになるかも。 | 
