Primary Choice
「ちっちゃなフォトグラファー」
(02年8/9月放送)

子供の好奇心と、それを優しく見守り育むパパの視点が、新鮮な切り口で描かれた快作。別段どうってことない曲のように思えるのだが、そう感じられる作品こそが今では貴重であり、そんな曲を紹介できる番組の魅力を再確認するために、あえてPrimary Choiceに推したい。石川ひとみのコミカルながら確実な歌唱、フルートを巧みに用いた伴奏、そして小石川ユミのキュートな映像(某2chでスレッドが立ったのも話題)、と番組の三要素がハイレベルに融合した点も見逃せない。

Secondary Choice
「テトペッテンソン」
(02年10/11月放送)

子供向け抽象童謡、とでもいうべき新しいジャンル(?)を開拓した怪作。言葉というより文字の響きに着目し、それをフランスの現代童謡に乗せたという発想の勝利。曲に真っ向勝負の井上順の歌唱と中村至男+松本空の映像もお見事。原曲を強く意識したアコースティックな伴奏(栗コーダーカルテット+)が、作品の印象を優しくしている事にも注目したい。

--Musical Piece--

• ヒナのうた
• ちっちゃなフォトグラファー

21世紀の子供向け楽曲の理想形の一つが「ヒナの歌」にあるように思える。ユニークな歌詞と大胆なコントラストが独特の魅力を醸し出している。「ちっちゃな…」は親子のふれあいを描く新鮮な切り口を評価。

--Performance--

• ちっちゃなフォトグラファー
• 夏恋花

幾つになっても石川ひとみの歌声はかわいい! …だけでなく、伴奏の見事さもあり、「ちっちゃな…」は文句なし。緩やかな流れの中に漂う幻想的なイメージを見事に表現した「夏恋花」も見事。

--Picuture--

• テトペッテンソン
• リセット

あの歌詞に真っ向勝負の「テトペッテンソン」がイチ押し。ただの幾何学図形にここまで物語を語らすとは、もう脱帽するしかない。もう1作はどれも魅力的で悩むが、歌手とアニメーターの合作のパワーを買う。

--Current Topic--

• ママの結婚
• 大きな古時計(リメイク)

現代的ながらこれまで番組が取り上げなかった場面を歌い込んだ「ママの結婚」は、番組の新たな可能性を示した。あの平井堅がリメイクした「大きな古時計」は、この番組の存在と子供向け楽曲の魅力を社会に大きくアピールした。

--Rebroadcast on TV--

• 悲しきマングース
• 名もない花のように

人為的な生態系破壊という今日的問題を20年以上も前に取り上げた「悲しきマングース」との再会は、やはり悲しむべきか。一方で温かな人生賛歌の名作「名もない…」の放送に癒された視聴者は多いのでは?
再放送は延べ20曲でした。

--2002 short Review--

02年度は番組に新境地を拓こうという意欲作が多く、全体的にレベルの高い作品が並びました。色物が多かったのも特徴。その中で2曲を選ぶのには苦しみましたが、視点の新しさ・子供への優しさと楽しさ、そして最後に筆者の好みを加えて、半ば強引に選出しました。
新曲は21曲でした。