Primary Choice
「手紙」
(08年8/9月放送)

今を生きることに苦しむ15歳が、大人の自分に対して自分の悩みを手紙に綴る。そして、大人になった自分が、15歳だった頃の自分自身に、ありがとうと手紙を綴る…人生でもっとも多感なひとときの心の揺れを巧みに描き出した、まさに「青春」を歌った作品。アンジェラ・アキの個人的経験がモチーフになっているが、そこには私達誰もが共感できる内容が込められている。NHK合唱コンクールの中学校課題曲から、番組に取り上げられたという出自もユニーク。この番組は、こういう曲を紹介するためにあるんだ、と改めて実感させてくれる名作。なお、放送途中でアニメが全面改定されたのも、この作品の特色。

Secondary Choice
「虹色ラブレター」
(09年2/3月放送)

毎日ラブレターを書いている男の子(たぶん)が、ポストの向こうでこの手紙を読んでくれているはずの女の子のことをあれこれ想像する様子を、コミカルに描いた作品。歌詞のあたたかさ、そして万華鏡のようにくるくる変わる伴奏部のユニークさが、作品の持ち味。アニメを担当した西内としおの作風が、曲の雰囲気とベストマッチを見せたことも、高い評価につながった。「月のワルツ」から5年目にして、諌山実生再びのランクイン…といっても、このサイトの中でですが(笑)。

--Musical Piece--

• 手紙
• 翼が今

すばらしい歌詞、見事なメロディーと編曲。「手紙」は文句なしのマスターピース。時点は作風の違う作品が並び混戦模様ですが、新しい門出を爽やかに祝ってくれた「翼が今」をここでは推薦。

--Performance--

• 虹色ラブレター
• 手紙

冒頭からなんだかわくわくさせてくれる「虹色ラブレター」はお見事。伴奏も大健闘。アンジェラ・アキの熱唱を堪能できる「手紙」も、甲乙つけがたい。全体的にハイレベルな作品が並びました。

--Picuture--

• PoPo Loouise
• 手紙

はっとする色彩感と独特な動き、抽象と具象を巧みに使い分けた「PoPo Loouise」が、感動的に美しい。「手紙」はアニメが２バージョンという異例作だが、そこに込められたスタッフの思いを買いたい。

--Current Topic--

• 手紙
• 晴れ舞台

「手紙」が生み出した大きなうねりは、社会現象と言っていいかもしれない。紅白でのピアノ弾き語りも印象的。黒人演歌歌手というレッテルを別にしても「晴れ舞台」は感動作。ちゃんと聴けるのが嬉しい。

--Rebroadcast on TV--

• 「手紙」が再放送から漏れた
• ドナドナ

結局「?」枠とは前月の新曲の再放送のためにあるのだろうか。これだけ話題を呼んだ新曲が、正規の再放送枠で放送されなかったのは、番組の歴史で初めて。古い作品の発掘は嬉しいですが。TV再放送は23曲。

--2008 short Review--

08年度は、さまざまな意味で「手紙」が番組を代表する作品となりました。出自はもちろん、途中でのアニメの変更や再放送の扱いなど、番組のあり方そのものまで問いかける結果になったのも興味深いです。色物(笑)の作りが予想以上に良かったのも印象的でした。これも番組の魅力でしょう。新曲は17曲でした。