Primary Choice
「ふるさと」
(09年12/1月放送)

ふるさとから離れた僕が、ふと思い出すそのふるさとの景色。それを胸にもう一度歩き始めよう、と綴られる、大人への応援歌。それをあくまでもファンキーなノリを徹底したまま歌い切ったところが、この作品の味わいであり、いかにも「みんなのうた」らしい作品。ほとんどPV調の実写映像は、CF製作などで著名なSEPが担当。うたとは全く関係なく繰り広げられる物語が、ちゃんと作品のテーマに結びついており、ハイレベルな映像が光る。なによりも、長いCodaでもう一度キャストを総出演させるという心憎い演出で、作品の味わいが深まった。

Secondary Choice
「二人ぼっち時間」
(09年6/7月放送)

まさかまさかの番組再登場となった椎名林檎が届ける、ちょっぴり不思議な音楽の世界。2分あまりの間に万華鏡のように曲のイメージが変化してゆくのは、まさに椎名作品ならではの楽しさ。また、人形劇をベースに据えつつ、多彩な手法で文字通り音楽を彩ってくれた映像構成もお見事。子供たちが歌うにはちょっぴり難しいのが難点だが、番組にふさわしいファンタジーソングの名作。

--Musical Piece--

• 忍者ネギ蔵
• グラスホッパーからの手紙

番組お得意のラテン調こどもソングが登場すると、どうしても上位になってしまう。グラスホッパー3部作の最後を飾る「…手紙」は、ほろりと大人の味わい。僅差で佳作が並ぶ中、半ば独断でこの2曲。

--Performance--

• 二人ぼっち時間
• 風がきれい

あの難曲をここまで歌いこなせるのは、さすがは椎名様(自作だからというだけではないですね)。久々のフルアカペラとなる「風がきれい」の深いハーモニーも捨て難い。総じて安定した歌唱が多い年でした。

--Picuture--

• ふるさと
• 二人ぼっち時間

曲紹介でも述べましたが、「ふるさと」はCoda部分のフルキャストによる合唱で、永遠の価値を得た。楽曲に負けない色彩感を出し尽くした「二人ぼっち時間」もお見事。この2作品が群を抜きました。

--Current Topic--

• かつおぶしだよ人生は
• ふるさと

子役パワーここに極まれり、といった感のある「かつおぶしだよ…」は、ついに紅白も制覇。大人へのメッセージソングとして「ふるさと」はさまざまな反響がありました。

--Rebroadcast on TV--

• ぼくの目は猫の目
• ちっちゃなフォトグラファー

まぼろしの名曲がついに再放送、と思ったら、その歌い手が亡くなってしまうなんて。一方で番組きっての萌えキャラ(?)が久々に登場で、和ませてくれました。TV再放送はのべ33曲でした。

--2008 short Review--

09年度はずば抜けた名作はないものの、比較的高い出来映えの新曲が並び、聞きごたえのある1年だったように思えます。また、この年の紅白で「みんなのうた」関連が3曲も歌われたことも、番組ファンにとってはちょっとした事件だったと思います。新曲は20曲でした。