Primary Choice
「チュンチュンワールド〜おげんきたいそう〜」
(94年8/9月放送)

当時でも少なくなっていた、純粋な幼児〜小学校低学年向けの作品で、広義の「ことばうた」。この曲の評価を決定づけたのは、何と言っても歌い手の面々。あの狂気の沙汰とも思えるキャスティングと趣向の数々は、善悪を超えて番組の到達点の一つと言えよう。意外にもしっかり作り込まれた曲の構造、一世を風靡したプリミティブなCGと恐るべき実写映像(笑)、そして後年の「ロングバージョン」の先駆けと、実はまじめに評価されるべき点も多い事を、この機会に指摘しておきたい。

Secondary Choice
「料理記念日」
(94年12/1月放送)

結婚するまではいつも二人で外食ばかり。いざ料理を始めると失敗ばかり。だけどそれをいつも食べてくれるあなたのことが、たまらなく好きになる…。そんな新婚カップルの楽しい(?)食卓風景を描いた作品。番組の「ヤングママ」シリーズでも屈指の洒落た音作りが特徴。当時ブレイク直前のル・クプルを起用したNHKのミーハー路線が、見事に花開いた一例。吉良敬三のシチュエーション毎に手法を変えたアニメが、コミカルなムードをより高めたのも評価されよう。

--Musical Piece--

• ボクの勝ち
• 料理記念日

レゲエと赤ちゃんの夢、というミスマッチを見事に克服した「ボクの勝ち」は、楽曲の完成度も高い。新婚夫婦のちょっぴり苦いけど幸せな毎日をコミカルに描いた「料理記念日」は、視点の巧みさが冴えた。

--Performance--

• ヘドラーの山
• 旅の好きなあなたへ

ラテンポップにド演歌のコブシがこんなに似合うなんて…。「ヘドラーの山」の細川たかしはお見事としか表現できない。「旅の好きな…」では、塩田美奈子の充実した歌唱が視聴者を包み込んでくれる。地味ながら伴奏の的確さも重要。

--Picuture--

• アフターマン
• チュンチュンワールド…

あのD.ディクソンの近未来科学書の設定をアニメーションにしたというだけで、「アフターマン」の映像は永遠の価値を保つ。いろんな意味で大爆発の「チュンチュンワールド」の楽しさは、他の追随を許さない。

--Current Topic--

• チュンチュンワールド…
• 料理記念日

あの奇抜な歌い手とパフォーマンス、再放送時のよもやの企画などなど、近年の番組の殻を打ち破る点で、「チュンチュンワールド」の果たした役割は大きい。「料理記念日」のル・クプル起用は、スタッフの力量の勝利。ミーハー万歳!

--Rebroadcast on TV--

• きっとしあわせ
• また明日

4節連続して再放送された「きっとしあわせ」は、番組のヤングママ路線を一気に加速することになった。再放送時に映像が変更された「また明日」は、制作サイドのせめてもの罪滅ぼしかも。
TV再放送曲はのべ12曲でした。

--1994 short Review--

94年度は各分野に特色ある作品が乱立しました。「子供」というキーワードが十分意識されていた一方、新たな分野への移行が進んだのも特色です。その中で、後の番組に影響の大きい2作品を選びましたが、どちらも曲自体の完成度の高さこそが、評価の基本なのです。
新曲は24曲でした。