今年の9月4日、とうとう私は「あずきちゃん」のDVD-Boxを手に入れることができました。その日の喜びと感激は、このコーナーで既に紹介したとおりで、それは未だに衰えることを知りません。
さて、その日の夜、家に帰った私は一つの目標を立てました。
「これから1日1話ずつ「あずきちゃん」を観ていこう。そして、最後まで見終わってから、このエリアを作っていこう」

そんな夢みたいなこと、実際にはできる筈もありません。今の勤務状態で平日にDVDを観るなんて夢物語もいいところ。9月の後半には私の目標は早くも完全に崩壊し、このサイトで今年中はもちろん、来年中に「あずきちゃん」を取り上げるのは半ば諦めの心境になっていました。
そう感じながらも、私はこのDVDを観ることをやめようとは思いませんでした。むしろ、なんとしてもこの作品を最後まで振り返ってみたいという思いが、日に日に強くなるのを抑えることができませんでした。
そこで、平日がダメでも休日があるさと、休日にある程度まとめて鑑賞することにしました。休日の自由時間をほとんど全てこのDVDを観ることに費やしたといって過言ではないでしょう。この私が秋の学生アメフトの試合を全く観戦しなかったといえば、私を知る人はさぞ驚くことでしょう。そこまでしないと私の時間は生まれなかったし、そこまでしても、疲れ果てた私の体がDVDを観るという行為すら拒否することもしばしばでした。
それでも「あずきちゃん」を観ている間、私はとても幸せでした。見終わって肉体的にはさらに疲労がたまっていても、心の疲れはずいぶん軽くなりました。あぁ、いいお話だよなぁ、こんな作品に巡り会えて、本当に幸せだな、と心から感じていました。
そして昨日、ようやく私は「あずきちゃん」最終話までたどり着き、それまでと同じように感動し、子どもたちの未来に拍手を送りました。それから、今回初見となる映画を観て、その出来映えに舌を巻きました…決して傑作ではないけれど、これほどまでに丁寧に作られた作品を、私は愛さずにはいられません。

結果として私は「あずきちゃん」を今年中に振り返ることができてしまいました。これこそ夢物語と言わずしてなんでしょう。
それは私の意思なんかではなくて、私にそうさせるだけの力がこの作品にはあったからだ。私はそう思っています。
既に述べているとおり、その力に相当するものは決して特別なものではなく、むしろ私達の身近な場所にいつでもどこでも存在していたはずのものです。でも、私たちがそれに気付くことは少ないし、TVアニメがそれを描いたことは今まで皆無と言っていい状態でした。
それをこれほどまでに自然に、普段着のままで語りかけてくれた「あずきちゃん」という作品。その作品の尽きることのない魅力に、今回私は改めて気づくことができました。そのきっかけを与えてくれたDVD-Boxを発売するために労を負ってくださった全ての皆さんに、改めて感謝します。
そして、今年の後半、私を精神的に生かしてくれたのはまさにこの作品そのものでした。心からお礼を言わせてほしい。ありがとう。
もう一度この作品を振り返ることで、(それまで全ての話を観ていなかったこともあって不完全であった)私の考えも、また新たな視点を得て作品と向きあうことができるようになりました。これを踏まえて来年から、ようやく「あずきちゃん」エリアの構築を本格的に進めようと思っています。どんなに歩みが遅くなろうとも、この作品の魅力のほんの少しでも皆さんにお伝えできるよう、微力を尽くします。それが、この作品が私に与えてくれた計り知れない幸せへの、ささやかな恩返しになると信じています。