今日という日を一日千秋の思いで待ち続けた、というのはウソです。この出来事だけをずっと追いかけ続けるほど、私は暇ではありませんでしたし、他に関心事はいくらでもあります。でも、いつかその日が来るということを疑ったことはありませんでした。
2010年6月9日。今日は「あずきちゃん」DVD-Box復刻版の発売日です。

私は、前回とは異なり、今回事前予約を入れませんでした。なぜか、どうしても店頭で買いたいという気持ちが強かったからです。1枚割れちゃった(泣)とはいえ、本物の初回限定版DVD-Boxを持っているから、今回は別に手に入らなくてもいいや…ではなく、実際に自分の足で買いにいった方が、絶対に楽しみが増すと勝手に信じ込んでいました。
果たして、山積みの仕事を全部うっちゃって、閉店間際のショップが並ぶ秋葉原に出かけたのですが、何となく予想通り、どの店にも目指す商品は置いてありません。いや、たぶんアニ○イトにいけばあるというのは想像つくのですが、あのビル全体がアニメ一色のお店に、いい年こいた背広姿のおっさんがのこのこ入るのは、さすがに抵抗あり過ぎです。
これはひょっとすると自分の見込みが甘過ぎたかな、と半ば反省しながらやって来たとある家電量販店の映像コーナーに、目指すDVD-Boxはひっそりと置かれていました。しかもなぜか二つも。他のお店も含めて、店内のどこにも「あずきちゃん」の宣伝はなく、極めて地味な扱いなのですが、この独特の仕様…なんせ巾着袋入りのDVDなんて他に見たことありません。しかも外箱はCDサイズなのにデカイ!!…は、一目瞭然。やっと見つけたという安堵よりも、こうして店頭に並んでいる姿を拝むことができる喜びを、私は静かに噛みしめていました。
そして、今、私の机の横の棚には、見た目全く変わりない「あずきちゃん」のDVD-Boxが2つ鎮座しています。DVDの品番と宣伝文章を記したタグのほんの一部の表記の違いを除けば、この2つは全く同じ商品のように見えます。たぶんそうなのでしょう。良心的な価格設定とはいえ、やはりそれなりのお値段はしますので、冷静に考えると、貧乏人としてはなんだかすごく無駄なお金を使っちゃったな、という感覚が起こっても良さそうなものです。
でも、私にとっては、こうして2つ並んだ同じDVD-Boxを眺めると、なんだか幸せな気持ちになるのです。
初回限定版を手に入れたその日、まさに狂喜乱舞して商品を眺めていたこと。その頃から少しずつ、本当に少しずつ手を加えてきたこのサイト。そして、今でもこうしてこの作品に触れることに喜びとわくわくを感じることができる自分自身。これら全てが、なんだかとてもあたたかく、幸せなのです。
その幸せは決して華やかでも熱狂的でもなく、どちらかといえば素朴で静かなものです。でも、それがちょうどいい。どこかのCFの台詞にあった「少し愛して、ながーく愛して」ではありませんが、私の人生を少しだけ、だけどいつまでもあたためてくれそうな、そんな気がするのです。そういう感覚を与えてくれるのが、「あずきちゃん」という作品であり、また、この作品が長く皆さんに愛され続けてきた、最大の理由だと思います。

このDVD-BoXを復刻するにあたり、関係者の方々の凄まじいまでの努力と苦労があったことは、想像に難くありません。皆さんのご尽力に、この場を借りて心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。
少しずつではありますが、私もこのエリアに手を加え続けて、私なりの「あずきちゃん」の魅力を紹介していきたいと思います。それが皆さんへのささやかなお礼となれば、サイト運営者としてこれほどの喜びはありません。