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今回、ここに記すべき言葉を、どれほど考えたことでしょう。
前作・新作を通じて、これまで舞台が回るときには、まがりなりにもシリアス(またはリアル)に物語は進んでいました。しかし、今回は違う。子供たちが宇宙に戻れるかどうかという重要な段階になって、突如現れるドタバタ。その結果、子供たちの運命はもう一度振り出しに戻ってしまいます。そういう進行に対する好みはあるでしょうが、私にとって、この作品に限っては、耐え難かったのです。
バイファムという物語で、これほど下品な(失礼をお許しあれ)物語の引き延ばしが行われたのは、残念と言うほかありません。「こんなヤツ食ったら、カエルが腹壊すわ!」…マキ、あなたの台詞は、的確だと思います。
ポールとリグレーは、二人で作ったアランの墓参りをします。その折、子供たちに約束はしたものの、と素直に打ち明けるポール。でも、リグレーはしっかり作戦を考えていました。ククト軍を誘い出して、彼らが乗ってくる輸送機を奪おうとは、ちょっと虫がよすぎる気もしますが、アイデアとしては悪くないと思います。でも、15人には、肝心な視点が抜けていました。彼らが誘わなくても、巡回隊の通信が途絶えたら、ククト軍は必ず調査にやってくるのです。
大急ぎで罠(巨大な落とし穴)の準備をするRV。大芝居を打つために変装をするポール。なんだかんだ言いながらポールたちのことが心配なケンツは、ポールに(ワルサーそっくりの)ピストルを手渡しますが、そのために他の子供たちとはぐれてしまいます。こうして、舞台と役者は整いました。
空から舞い降りるXU-23a。それを迎える変装したポール。降りてきた兵士にポールは(おそらく)「何をもたもたしておる、さっさと全員整列させい!」とククト語で叱咤し、慌てて全員がポールの前に並びます。ポールの号令で、整列した兵士たちは研究所の方へと行軍をはじめ、見事に罠にはまります。と、一人残っていた兵士がポールを襲いますが、リグレーの見事な蹴りが炸裂します。
飛び出してきたケンツと共に勇躍輸送機に乗り込んだポールは、整備をしていたパイロットを捕らえます。喜ぶ二人。コクピットを目の前にして、二人は輸送機を飛ばす誘惑に駆られます。そして、普段なら天下一品のお調子者コンビになるであろう二人は、輸送機を飛ばすことに成功し…
シャロンの怒号から始まるラストシーンは、混乱する子供たちを描いた演出としては一流だと思います。墜落した輸送機を前に、力なくつぶやくスコット。ショックのあまり、彼はとうとう気を失ってしまいます(今回の冒頭で、ポールの作戦をいぶかるロディとバーツの会話を聞いて、自信をなくすスコットの姿が重なります)。…実際は、落ちてきた部品が頭に当たって倒れただけなのですが、他の子供たちには、そうはとられないでしょうね。最後の最後で「スコット、しっかりしてぇ!」と叫ぶクレアの声が裏返っているのは、ご愛敬です。
ケンツは、リグレー夫妻への不信感を拭いきれません。そこで、冒頭から単独任務で二人の監視を続けます。でも、彼にそんな器用なことができるわけもなく、しっかりとポールに見抜かれています。ここから、ケンツとポールのぎくしゃくした交流が生まれるのですが、この二人が実はそんなにかけ離れた存在ではないことに、ケンツは最後まで気づきません。そう、結果として彼らは知らぬがままに意気投合するのですが、その結末は、ご覧の通りでした。
RVが地上であんな細かい作業をするのは、不自然な気もします。もっとも、もともとRVは宇宙空間でのEVA装備から発展した物なので(詳しくはこちら)、ここは大目に見たいと思います。前作では似顔絵を描いた実績もありますし。
今回の作戦によって、「タウト星」には子供たちとチェンバー夫妻の他に、ククト軍の正規兵も取り残されたことになります。また、彼らの救助のために、今回以上の兵力でククト軍がやってくることも確実です(これで次回来なかったら、それこそ笑ってあげます)。
いよいよ事態は収拾がつかなくなってきていますが、あと2回でどうやってここから抜け出すのか、お手並み拝見といったところです。頼むから、お願いだから、ククト兵たちを見捨てないでほしい…
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