なくせないのがあったんだよ--ロングバージョンの功罪--

1.はじめに 「みんなのうた」では、数年おきに番組の基本スタイルを変更して、新しい空気を番組に吹き込もうとする傾向があります。ここ10年あまりを見渡しても、再放送体制が幾度か変更されたりしている他、曲目や演奏者の選定にも、徐々に変化が現れています(これらの一部については他のコーナーでも論じていますので、興味のある向きはどうぞ)。 これらの中でも、97年度から始まった新しい曲の形態=ロングバージョンは、それまでの番組のあり方を根底から打ち破る、画期的な大変革でした。その始まりを宣言したテキスト(97年4/5月号)を手にしたときの驚き、そして実際に放送が始まったときのさらに大きな驚きは、この番組に興味を抱いて以来最大級ともいえるものでした。 あれから3年、今ではこの番組の「顔」となりつつあるロングバージョンですが、この企画が番組にもたらした影響は計り知れないものがあります。それは単に番組の放送体制といった表面的なことばかりではなく、番組のあり方そのものにまで、複雑な影を落としています。ここでは、番組の歴史ではまだほんの一部にしかすぎないロングバージョンの登場がこの番組に与えた様々な影響を、いくつかのポイントから見直してみたいと思います。 (ここで取り扱う作品は、1997年4/5月〜2000年2/3月放送分までに放送されたロングバージョン15曲です)

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