ほぼ2年前、東京国際アニメフェアの会場で、私はさるお方から「あずきちゃん」　DVD-Boxの再販の企画があることを教えていただきました。そのお方は、早ければその年の夏にでも何らかの発表があるかも、私に告げました。
果たして、その夏が過ぎ、次の冬がやって来ても、私が待ち望んでいた発表はありませんでした。私は冷静にそれを見つめていました。こうした企画が順調に進むことなんて、基本的にはあり得ないということぐらいは、一応社会人やっていると、よくわかります。それになんてったって「あずきちゃん」です。いかに放送当時絶大な人気を誇ったとはいえ、117話もの膨大なお話を、放送終了後10年以上経ってから改めてDVDとして発売することが、客観的に見てかなり難しいということは、言うまでもありません。
かといって、私が諦めたわけでもありませんでした。お名前は明かせませんが、私にお話をいただいたのは、アニメ関係者としては最高位に近い立場の方で、たとえ私へのリップサービスがあったとしても、全くのウソでたらめを言える方ではなかったからです。
そしてもう一つ、このようなへんぴなサイトにも、毎年数件、必ず「あずきちゃんを見たいのですがどうすればいいですか?」という問い合わせがあったからです。私は事情を説明して、よかったら関係先にDVD再販のお願いをしてみては如何ですか? とお返事していたのですが、皆さんのお問い合わせを読むたびに、この作品への根強い人気、というか皆さんの愛着に、いたく感動していたものです。これだけの人気が今もなお残る作品は、アニメ番組多しと言えども、そうそうはありません。当然放送局や出版社、その他の関係者もこういう事情はご存知でしょうから、いつかきっと、願いが叶う日が来る。そういうぼんやりした予感は、ずっと持ち続けていました。

案の定、私は「あずきちゃん」DVD-Box再販の情報を見過ごしていました。メールで連絡をいただかなければ、ひょっとするとずっと気づかないままだったかもしれません。うれしさに飛び跳ねたい気持ちの一方で、それにしてもなんでこんなに情報がないんだろう、と私はいぶかしみました。
連絡をいただいた翌日、私は早速秋葉原に行ってDVDショップを回ったのですが、どの店にもほとんど何の告知もありません。あるアニメ専門店に至っては「この作品は、今のところ取り扱いの予定がございません」とまでいわれてしまう始末。そりゃまぁ、萌え要素ゼロの作品を、その手のお店(笑)で買うような人はあまりいないとは思うけど、一応専門店なんだから、取り寄せしますよぐらいは言ってくれてもいいじゃないの…。結局一通り回ってみて、これは私が気づかないのも当然だと、妙に納得しました。こんなに地味な形で発売されるアニメ作品のDVDなんて、私は他に知りません。
だけど、それが不思議とこの作品にはお似合いなんですね。本当に地味な作りで、ぱっと見は一体このどこが人気だったんだろう、と考え込んでしまいそうな作品なのですが、そうであるからこそまさかの再販という偉業をひっそりと成し遂げてしまう。このギャップの激しさが、「あずきちゃん」という作品の奥深さのように感じてしまいます。
ETVのリクエストでトップを取るほどの根強い人気を持つ作品です。こんなひっそりとした発売でも、少しずつ売り上げを伸ばしてもらえれば、ファンの一人としてこんなに嬉しいことはありません。
そして私は、冒頭のさるお方との約束を果たすべく、最低2セットはこのDVD-Boxを買わねばなりません。そのこと自体に何ら異存はないのですが、さて、10万円をどうやってひねり出そうか、ここが思案のしどころです。

当サイト管理人は、このDVD-Box再販事業に携わった全ての関係者の皆さんに、心からの敬意と深甚なる感謝を、謹んで捧げる次第です。
ありがとうございました。この機会にあずき色の世界に触れる子どもたち(とかつて子どもだった人たち)が一人でも多く生まれることを、願ってやみません。

※情報を提供いただいたりんす様に、この場を借りまして厚くお礼を申し上げます。　

…とか言っていると、またまたスターチャイルドから告知があって、なんと、注文が殺到したため、発売が6月9日に延期になってしまったとの事です。なんてこったい!!
いや、でも、これはこれで嬉しい事のようにも感じます。この作品がそれだけたくさんの人に愛されているという、なによりの証拠なのですから。
私は待ちます。待ちますとも。これまでずっと待っていたのです。ここで2ヶ月ぐらいそれが延びたところで、大差ないじゃないですか。ついでに、できることなら、この延長の間に、もっとたくさんの皆さんにこの作品を知っていただける機会が生まれればと思います。このサイトが、少しでもそのお役になっているのであれば、とても嬉しいのですが…