小さな男の子「ボク」の愛犬「チャチャ」は、交通事故にあってお星様になりました。でも、ボクのことが気になるチャチャは、おもちゃの車になってボクのもとに帰ってきました。ボクとチャチャの楽しく不思議な冒険の日々を描いた、幼児向けTファンタジー作品だが、その親からも高い支持を獲得した。爽快な音楽も魅力的。1999/2001年NHK-BS作品。TVシリーズ全26+26話。監督:アミノテツロー、原案・構成:おけやあきら、音楽:つのごうじ、製作:童夢・ジャパンデジタルエンターテインメント。

ETVで断片的に放送されたこの作品をはじめて観たとき、世界の優しさと鋭さ(!)…「罪っていけないことなのよ!」という台詞が4歳の女の子(マリー)の口から出て、それが何の違和感もなく成立してしまうのです…に不覚にも涙がこぼれてしまいました。気にしなくっちゃ気づかない、気づかなくっちゃわからない、そのことをまだ自分はなんとか感じることができるらしい。そのことに私はささやかな喜びと誇りを感じました。えっへん(笑)! ここまで見事に一つの世界を描ききった作品、しかも完全オリジナルアニメが登場したことが嬉しい。おそるべし、NHK。普通の子供たちのために、アニメーションは描くべきことがたくさんあるのです。 私は「さくら」も好きですが、ほぼ同時期に放送されていた「ぶぶチャチャ」の方が常時高い視聴率を維持していたという事実が嬉しい。大多数のアニメマニア諸氏には全く縁遠い作品かもしれませんが、本来アニメーションとはこういう作品のためにある表現技法なのです。それをTVアニメの枠内で正面から取り組んだことに心から賛辞を贈ります。奇を衒わないしっかりした演出と作画、そして声優の好演にも好感を持ちます。個人的には、監督がバイファムでも活躍されたアミノテツロー氏という点も、またまた嬉しかったりします。 よほど別枠で取り上げたいところですが、それをしないのがこの作品に対する礼儀というものでしょう(その誘惑にどこまで抗しきれるか、ちょっと不安ですが)。「ボクはボクだお！」という台詞こそこの作品の全てだと、勝手に断言するだけにとどめます。それにしても、BS導入しておけば良かったな、と後悔することしきりです。 (2002)

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