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私の部屋にはCATVを導入しているので、CS放送も見ることができます。その幸せをこれほど実感できた作品はない…といえばかなりオーバーですが、21世紀に入って私が視聴したTVアニメシリーズの中で、間違いなく五指に入る楽しい作品でした。そもそも、自分に縁遠いラブコメディを見続けるということ自体、私にとってまさに奇跡と言える出来事でした。
作品を支配する一貫したアップテンポの爽快さが、この作品の最大の魅力でしょう。第1話冒頭で登場する「ブルマ事件」(笑)で、この作品なここまでぶっ飛ぶことができます、と堂々と宣言しておいて、そこから本来の物語が大手を振って進んで行くという演出は、少々反則気味なのですが、このブルマ事件に主人公と彼を取り巻く家族の姿が巧みに織り込まれているので、私達はこのエピソードを見るだけで、この作品の世界観が体感できてしまいます。結果として、後の物語が多少スピードを変化させても、私達は違和感を感じることなく、物語を楽しむことができます。
途中で挿入される古風なランニングギャグが実にいい味を出していて、実に楽しい。そしてここぞというシークエンスでは、テンポを大胆に落としてじっくりと情景を描いてゆくのですが、普段のテンポとのコントラストが絶妙に設計されていて、とても印象的です。特に最終2話での緩急の驚異的なバランスは、TVアニメの歴史でも屈指のものでしょう。一見乱暴にも見える語り口が、実は綿密な設計の元にあると気づいたとき、この作品の魅力は一気に広がります。
そしてもう一つ、ラブコメディーというメインテーマは大切にしつつも、「家族の姿」そして「心の中に潜む悪魔」というシリアスなテーマに、見事なまでの直球勝負を挑んだパワーも、この作品の魅力でしょう。作品は全体として3部構成となっていますが、各部分が独立したエピソードとなりつつも、久美子を軸にして全体が大きくまとまり、その結果3つのテーマが融合してゆく様子は、お見事! と声をかけたくなります。それまでギャグメーカーだったママさんが一気に場面を引き締める12話の展開には思わず息を飲んでしまいました。そして母にどんなに傷つけられても、なお「お母さんを助けて」と佐間太郎に願う久美子の思いすら見事に昇華するエピローグの仕掛けには、まさに一本取られた、という思いです。
…まぁ、そんな堅い話は抜きにして、まずは気楽に楽しみませんか? というのが、私の率直な感想です。テンコが繰り出す必殺技や、頭から吹きだす湯気を見るだけでも楽しい。彼女を軸に描かれる3人の恋模様を追いかけるだけで、何だか幸せな気分になれる。それが嬉しいのです。
じゃあ何がそんなに幸せなのか、それを考えるのは、次の機会にしたいと思います。
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