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| 深夜になって、コンテナがぶつかると危険ということで、私達は時折交代で船の周囲を見回っていた。その合間をぬって明日の予定を考えていた。海図を見ながら船長は 「ここから西宮までは、こう行けばいいと思うが、海がこの調子じゃいつ到着できるとも限らない。本当に西宮に行くのか?」 と心配そうだった。 私は西宮まで行く人や預かっている荷物のことを説明したが、 「西宮に行く人も明日ここで降りてもらった方が、結局早いかもしれない。荷物はここで下ろせばいいと思う」 という感じで、話がまとまらなかった。 話も疲れてきたので、私達が椅子に座っていると、突然「どどーん!!」と大きな音がしたかと思うと、船が大きく上下に揺れた。さてはコンテナが当たったか!? と船橋一同で船縁を見回ったが、それらしいコンテナはない。 不思議に思っていると、今度は海底を南の方から「どどど…」という音が近づいてくるのが分かった。その音が次第に大きくなりながら近づき、ついに船の真下に来たと思った瞬間、また「ずどどーん!!!」と大音響が響き、船が大きく揺れた。 数分後、もう一度同じ現象が起こった。もう私にも、これが何か分かってきた。 「…どうやら、これは余震みたいですね」 「きっと余震だね。私も船員暮らし長いけど、船の上で地震に遭うのは、今日が初めてですよ」 私の横にいた機関士は、深刻そうな表情でそう答えてくれた。 岸壁の東側、神戸製鋼のあたりがオレンジ色に輝いていた。あれは火事なんだろうか。後に「プロジェクトX」でも紹介された決死の高炉保全作業が行われていることなど、私達は知らなかった。また、私達の工場の事務所の方角でも、オレンジ色の光が輝いていた。あれも火事なんだろうか、もしそうだったらどうしよう。工場に燃え移って、明日着岸できなくなってしまったら…。私は、先ほど社員に言った言葉が嘘になってしまうのでは、と真剣に心配していた。 もう日付が変わって1月18日になっていた。船橋にいた私達も交代で眠ることにした。私は持ってきた作業用コートにくるまって、船橋の後ろの椅子にもたれかかった。波がゆっくりと船を揺らしているのが分かった。たまにあの音響が近づいてきて、船を上下に動かした。こんな状況で眠れるのかな? と思っていたが、いつの間にか私は眠りに落ちていた。 |