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7.さきがけ、そして… これまで様々な面から、ロングバージョンの曲について眺めてきました。彼らは、単に「時間が長くなったみんなのうた」ではなく、ある一定の特色を持った曲の集団であることが、おぼろげながら見えてきたような気がします。 「いつも変化したい、し続けたい!」という番組そのものの思いが、ロングバージョンという形に結集されたのではないか。私はそう思います。斬新なシンガーの起用、思い切った曲の構成、斬新な映像表現、そしてプロモーションの場としての効用。…これらは、いずれも、常に「みんなのうた」が追い求めていた物に他なりません。それがたまたま、ロングバージョンという発想のもと、一気にその変化のスピードが速くなっただけなのかもしれません。 |
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ところで、本格的ロングバージョンが始まる前に、その先駆けとなった曲が存在しています。 斬新なシンガーの起用、思い切った曲の構成、斬新な映像表現、そしてプロモーションの場としての効用(当時、池谷らはタレントとしての道を歩み始めたところでした)。現在のロングバージョンにある特徴のほとんどが、既にこの作品には存分に盛り込まれていることに気づきます。 |
| 曲の良さというのは、単純に長さだけで決められるものではなく、そこに描かれている世界がどのように人に受け止められるかで決まるものです。長ければ長いなりに、短ければ短いなりに、曲の良さの質は変わってくるでしょう。ただ、決して変わらないもの=曲が持つ「力」=を、おろそかにしてはいけないと思います。 もちろん、最近の「みんなのうた」のテーマの一つである「癒しのための音楽」には、そんな力なんていらないよ、という議論があるかもしれませんし、それはある意味では正しいと思います。ただ、そうした世界を描く曲であっても、聴く人を癒すための「力」はやはり必要です。 こうした曲の持つ力、いや、生命力とでもいうべきものこそが、その曲が本来持つ魅力であって、その上に演奏者や映像などの魅力が加わって、私達は初めて曲全体を味わうことができます。そして、その曲本来の魅力が短い時間の中に凝縮されていた点こそが、「みんなのうた」という歌番組の最大の特徴であり、人気の秘訣ではないだろうか、と思います。 |
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私は、「みんなのうた」で現在続いているロングバージョンという動きが悪いことだとは、決して思いません。常に変革を求めてきたこの番組にとって、ロングバージョンの登場は番組始まって以来最大のブレイクスルーであり、番組が進化を続けるには、まさに千載一隅の機会です。 そして、そんな曲が続々と登場するとき、ロングバージョンは初めてその真の魅力を発揮できるのではないか。私はそんな風に思っています。なんせ「ロングバージョン」なのです。いろんな意味で時間はたっぷりあります。私達が5分間テレビに釘付けになるような、圧倒的な曲に出会えることを、楽しみにしています。それが子供向けのアップテンポの曲なのか、しっとりとした叙情的な曲なのか、はたまた想像を超える新しいジャンルの曲なのか。それはまさに音楽の神のみぞ知る、といったところでしょうか。 <了> |