バレエ学校の落ちこぼれ生徒・あひるは、かっこいいが心が虚ろな少年・みゅうとに心を取り戻してあげようと、プリンセスチュチュに変身して活躍しますが…。伊藤郁子が10年以上あたためてきたアイデアをもとに、これまで数々の話題作を手掛けてきた佐藤順一・河本昇悟・横手美智子のトリオが世に問う、バレエ仕立てによる久々の正統派ファンタジー作品。2002年TVシリーズ全13話原案/キャラクターデザイン：伊藤郁子、シリーズ構成：横手美智子、音楽：和田薫、監督：河本昇悟、総監督：佐藤順一、アニメーション制作：ハルフィルムメーカー。なお、続編として「雛の章」も制作されていますが、当コーナーでは当面扱いません。

私のできうる限り客観的に見ても、近年まれに見るファンタジー作品でしょう。だけど、この作品を特徴付けているのはそのファンタジー性ではなくて、物語を語る上で決定的な役割を果たした「音楽」の存在です。単なるBGMの役割を越えて、もう一人の語り部として作品を引っ張っていったこのもう一人の描かれない登場人物こそが、この作品の鍵を握っていました。 さすがに13回という枠で物語の決着を付けるのは困難なのか、終盤は説明が多くなってしまったのは残念なのですが、それすら音楽(の持つ意味)を媒体にすることで物語の中に組み込んでしまうという仕掛けには、やられたと思いつつ納得する他ありませんでした。TVアニメーションという語り口を存分に活用しながら、アニメマニアではない一般の方々に薦められる、というよりむしろ一般の方々の方が素直に楽しめるかもしれない。そんな作品が久々に登場したことが、この作品の最大の収穫だと私は考えています。 →もう少し詳しく (2003.3)

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