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巨大な戦争で近代文明が崩壊したはるか後、辺境の町セーズの第1121小隊に、喇叭手になることに憧れる少女カナタが、新兵として着任します。持ち前の明るさでカナタは小隊や町の人々に小さなぬくもりを振りまいていきますが、戦争の影がこの辺境の町にも少しずつ迫って来ていました…。 |
| 全体のプロローグである第1話で、作品のほとんど全ての主題が明確に登場します。水掛け祭りと「炎の乙女」の伝説が紹介された翌週の第2話で、通常バージョンのOPアニメを見て、「あぁ、これは結末はともかく、戦争がメインテーマになるんだ」と私は思い、実際その通り作品は筆を進めたと感じています。 某軽音楽アニメを連想させるキャラクターデザインと、ついでにトランペットを練習したいというヒロインのモチベーションのおかげで、そういうお話を期待していた視聴者には、この展開はかなりきついかもしれません。実際、作品中そっちによろめいた(笑)エピソードには事欠きません。ただ、この作品は最初から最後まで、ほぼ一貫して物語の一番底に「戦争」という通奏低音を響かせ続けました。この一見ほんわかしたキャラクター(単にデザインのことを言っているのではありません)で、よくここまでやってくれたなぁ、というのが私の素直な感想です。 作品を見て決して満点というわけではありませんし、なんだかなぁという部分も多少ならずあります。だけど、新企画第1作として、奇を衒わず、物語を堂々と正面から描いたという、製作スタッフの方々の気概がひしひしと感じられて、嬉しかったのです。もっとあっと驚くようなどんでん返しとか、強烈な悲劇的フィナーレとかが待ち構えているべきだ、マニアな方々もけっこういるのでは、と想像するのですが、この作品がそういう事を追いかけていないのは、第1話を見れば明白なので、私個人は、これはこれでありかなと感じています。 それでもやはり、描かれなかった長いエピローグをぜひ見たい、という思いはぬぐい去る事ができませんが…。 (2010.4) |
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