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全てが終わった後、モモはようやく家に帰ります。心配そうに出迎えたママに、ちょっと寂しげに微笑むモモの姿。そしてテレビ画面に映る凍りついたセーヌ川の景色。…このシーンがあることで、2回にわたって繰り広げられた物語は、とても味わい深いものになっています。
すぐそこにあった成功は、文字どおりモモの手からこぼれ落ちてしまい、これまでの苦労は水泡に帰してしまいました。モモを哀れむ王妃様の気持ちは、痛いほどよく分かります。その一方で、事情を知らないペットショップのママは、優しくモモを迎え入れ、モモはついつい「小さな」嘘をついてしまいます。
スタッフは、その気になればハッピーエンドで締めくくることが簡単にできたはずです。あえてその道を取らずに、モモに苦い経験と共に人の優しさを与えました。そこには、教訓とかいう以前に、ささやかな人生賛歌がこめられているようにさえ思えます。些細なことかもしれませんが、「モモ」という作品を語る上で、このエンディングは欠かせない物の一つとなっています。
主人公絶体絶命、という危機から見事に脱出というシチュエーションは、スパイ物には欠かせない舞台設定です。いかにも「モモ」らしいパロディを織り込みながら、話はそのセオリーを忠実に追っていました。さぁ、これから活躍するぞ!
とモモとギブミーが意気込んで扉を開けた瞬間、味方が敵を一網打尽にしていた、というアンチクライマックスには少々拍子抜けでしたが、そこで物語が終わらないのが嬉しいところです。ヘリを使っての空中戦のシーンは、あちこちにギャグを織り込みながらの丁寧な作画が楽しかったです。もちろん、お約束の凱旋門くぐりも見せてくれます。また、モモのレオタード姿もなかなかセクシーで、ギブミーならずとも見とれてしまいますね。
今回も、小道具が大活躍でした。ギブミーもさすがは情報部員、いろんな物を持っています…が、予想通りたいした役には立たない物ばかり。プラモデルで作る対戦車砲には爆笑しました。あ、でも子供用ロケットと発信機は、ちゃんと役目を果たしたんですよ。グルメポッポから出てくる「タケコプター」もどきも、また楽しい。あれで列車が空を飛んだ日には、誰だって驚きます。そうそう、冒頭のアイキャッチは、いうまでもなく前回のラストシーンとセットになっています。
今回は目立った活躍のない3匹でしたが、それでもスルメッチの部下の猫との勝負など、細かいところでいろいろとやってくれました。
…と、いろんな物が大活躍をすれば、無事に任務完了。というこれまでのストーリーを大胆に打ち破るどんでん返し。そしてやってくるラストシーン。たった1分あまりのこのシーンを描くために、まる2回を費やしたことになります。このスタッフの心意気を、私は買いたいと思います。
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