<<銀河漂流編・その1>>

第11話「さらばベルウィック・ジェイナスの旅立ち」

N//ベルウィック星から避難した子供たちは、自らの命は自らの手で守るしかないと敵襲に備えた。身長の足りない年少者たちもコクピットに高ゲタのような装置を取りつけ、乗りこなせるまでになっていた。しかし、軍からの連絡もないまま数日が過ぎ、子供たちの中にも焦りが見え始めていた。そんなある日、彼らの前に舞い降りた恐るべきアストロゲーター。総力をあげ、なんとか撃退する子供たちだったが、そうそう軍からの保護もあてにできない今、敵の脅威に怯えるより、自分たちの手で地球に向かおうと、発進準備を進めるのだった。

2058年12月×日 みんなでジェイナスに戻ろうと作業を初めて、今日まで何日かかったことだろう。でも、カチュアの活躍もあってシャトルが無事発進し、こうしてジェイナスに戻ることができて、とてもうれしい。ジミーとケンツが勝手なことをして、ちょっとひやひやしたけど、とりあえず無事でよかった。 しかし、このジェイナスを地球に向けて動かすなんて、本当にできるんだろうか。みんなのリーダーとして上手くやっていけるか、責任を感じる。

第12話「発進準備完了! 地球へ向けて出発だ!!」

D//宇宙暦2059年1月13日19時24分、練習艦ジェイナス、ベルウィック星第2ステーションより発進。おそらくこの星からの最後の脱出者である僕たちには、様々な困難が待ち受けているであろう。しかし、僕たちは仲間たちとともに、一人として欠けることなく、ふるさとの星地球へ無事たどり着く決意である。 なお、乗組員は、ルチーナ・プレシェット4歳、マルロ・ジュニア・ボナー4歳、カチュア・ピアスン11歳、ジミー・エリル7歳、フレッド・シャッフル11歳、ペンチ・イライザ10歳、ケンツ・ノートン9歳、シャロン・パブリン11歳、クレア・バーブランド14歳、マキ・ローウェル13歳、ロディ・シャッフル14歳、バーツ・ライアン14歳、ケイト・ハザウェイ26歳、そして僕はリーダーを務める、スコット・ヘイワード15歳、この14名が、ジェイナスの全クルーである。以上。

2059年1月13日 今日、ようやく僕たちの船・ジェイナスが地球に向けて出発した。本当に僕たちだけで動かしているなんて、まるで夢のようだ。これからますます大変な日々になるだろうけど、みんなで力を合わせていけば、なんとかなるかもしれない。 僕も、リーダーとしてがんばらないといけない。でも、サブコンピューターの件一つとっても、実力不足を実感する。リーダーとして上手くやっていけるかどうか、そしてみんながついてきてくれるか、不安だ。 <編注>この航海日誌の日時は、番組の放映日時を強く意識しています。初放送時、スコットの航海日誌の朗読は、まさしく(1984年)1月13日19時24分前後に始まっていたはずです。その一方で、物語上の時間設定が大きく歪んでいますが、やむを得ないでしょう。

第13話「射撃訓練開始! 恐怖の宇宙戦闘初体験!!」

D//宇宙暦2059年1月13日19時24分、我が練習艦ジェイナスが、ベルウィック星第2ステーションから発進して、もう今日が6日目である。幸い、たいしたトラブルもなく、今のところ全て順調に、軌道航路を航行中である。

2059年1月18日 今日は宇宙に出て初めての戦闘があった。僕の指示を聞いて慎重派だ、若年寄だ、とバーツやロディが言うけど、みんなの安全を考えているだけなのに、どうして分かってくれないんだろう。でも、結果として二人が少しでも宇宙でのRV操作に慣れていたから、なんとか敵をやっつけることができたんだ。そういう点では二人に感謝しないといけない。 だけど、みんなばらばらに動いているだけでは、この次はあの幽霊船のように絶対やられてしまう。なんとかしたいんだけど、一体どうすればいいんだろう。

第14話「敵のスパイか!? 迷い込んだ謎の逃亡者」

(ナレーション・日誌ともになし)

2059年1月20日 自分を異星人だと言ったあの男のおかげで、僕たちは敵に発見されずにすんだ。異星人と言っても、僕たちと変わったところなんてなかったように思う。それにしても、あの男はジェイナスを出る前、ケイトさんと二人きりで一体何を話していたんだろう。 シャロンが次々と騒動を巻き起こすので、ちょっと困っている。もっとおとなしくしてもらわないと…。でも、こうしたアクシデントを別にすれば、少しずつジェイナスの中は落ち着いてきたと思う。このまま何事もなく地球に戻れればいいのだが。

第15話「衝撃!! 異星人が残した意外なメッセージ」

D//我がジェイナスが地球を目指し、ベルウィック星第2ステーションを出航して、もう10日目。その間、突然異星人が1人飛び込むというアクシデントがあったが、航行に未だ支障なし。現在のところ、なんとか上手くやっている。 D//僕たちはいったいどうすればいいんだ。僕たちのジェイナスは、どこへ向かえばいいんだ。 <編注>今回と次回の航海日誌の日付と、実際の物語から推測される日付の進行とは、大きな違いが見られます。航海日誌に従う限り、子供たちがケイトとラレドの会話のテープを聞くのは、16話の前日(=ジェイナス出航から17日目)になりますが、そうすると、クレアがカチュアの秘密を知ってから1週間経つ計算になります。一方、物語の流れからは、この二つのエピソードは2日間の出来事であるように見えます。

2059年1月22日 この間やってきたククトニアン、つまり異星人のラレドという男は、カチュアは地球人ではなくククトニアンだと言ったそうだ。もしそうだとして、僕たちはカチュアをどうすればいいんだろう。それに自分が異星人だって、カチュアは知っているのだろうか? ケイトさんはお酒を飲んでばかりで、相談に乗ってくれそうもないし、困った。 2059年1月29日 とうとうケンツがカチュアに彼女が異星人だと話してしまった。ケンツとジミーは喧嘩を始めるし…。なんとかしてみんなをまとめないと。でも、どうすればいいのか、わからない。 それよりも、ケイトさんが聞かせてくれた、ラレドとの会話のテープは、もっとショックだった。僕たちの両親が異星人に捕らわれてしまったなんて。地球に行っても両親に会えないのなら、一体僕たちはどこへ行けばいいんだろう?

第16話「総員援護体制! カチュアを連れもどせ!」

D//第2ステーションを立って今日で18日目、もちろん日付は地球時間の計算法に従っている。昨日は就寝時間が来ても眠れなかった。みんなも同じだったらしい。それほど、ケイトさんが聞かせてくれた、異星人との会話を記録したテープはショックだった。一つは、カチュアが異星人だということ。それ以上にショックだったのは、地球に避難したとばかり思っていた僕たちの親が脱出した際、異星人の軍隊によって彼らの星に連れ去られたという事実だった。

2059年1月30日 どうしてこんな事になってしまったんだろう。どうして僕は何もできなかったんだろう。今日はもう何も書きたくない。

第17話「さよならケイト めざせ新たなる目的地」

D//昨日、ケイトさんが死んだ。自分が異星人であることを知り、ショックを受けたカチュアを助けようとして、敵の攻撃を受けたのだ。まだ、旅はこれからだという時なのに。ついにジェイナス号のクルーは、僕たち13人だけになってしまった。 D//まもなく、ケイトさんの遺品を乗せた救命艇は、視界から消えた。宇宙葬のあと、全体会議を行った。沈んだ全員を励ましたのは、なんとロディだった。僕にはなんだか彼が無理をしているように思えた。それから、カチュアのことが気になる。彼女は会議にも姿を見せなかった。 しかし、今の僕たちにはそんな感傷にひたっている暇はない。両親が捕虜になっているというタウト星へ向け、軌道変更の作業に入っているからだ。この軌道変更のチャンスは2.8日ごとに巡ってくるのであるが、コンピューターによると、最初のチャンスは7時間後にやってくるという。僕たちは、この7時間後のチャンスにアタックすることになった。軌道変更は一つのデータミスも許されない。また、もとのコースに戻すことも至難の技に近い。神経をすり減らす、辛くて長い7時間になりそうだ。 B//フェイズ５に入りました。本艦はただいまより軌道を変更します。

2059年1月31日 今日はとても長い、そして辛い一日だった。 宇宙葬のやり方は、テレビドラマとかで見たことがあったから、なんとかすることができた。でも、そんなことをしてもケイトさんが死んだという悲しさを忘れることはできない。 ロディには、何か僕たちに言えない秘密があるのだろうか。僕にはよく分からないけど、彼にはいろいろと悩みがあるみたいだ。バーツは僕のことを「ニブチン」なんて言うけど、僕だって僕なりに考えているんだ。僕にはそれよりもカチュアのことの方が心配だった。ロディを助ける時の二人の会話を聞いていて、僕にもようやく彼女の思いが少し分かったような気がする。結局、二人にはキャプテンとして何もしてあげることができなかった。 そんな思いを忘れさせるかのように、軌道変更作業は複雑で、僕たちを悩ませた。しかも、まさかあんな形で敵の攻撃を受けるなんて…。だけど、こんな状態でもみんななんとかやり遂げることができた。ロディやカチュア、そしてみんなの気持ちも、少しだけ和らいだような気がする。辛い、悲しいと言っているだけではやっぱりだめなんだ。とにかく、みんな元気にタウト星までたどり着くことが、大切だと思う。