| この回、子供たちにとってはこれまで単なる謎の存在でしかなかった異星人…ククトニアンが初めて物語の前面に登場します。初めはBL影でよく顔が分からないククトニアンたち。そしてジェダがロープを伝って上ってくるとき、いったん引き下がって、それからようやくジェダが壁を乗り越えるのを手伝うロディの姿。こうしたシーンは子供たちのククトニアンに対する感情を簡潔に表現していて、なかなか優れた演出だと感じました。 このわずかな時間でジェダが話した言葉を、ロディはただ受け止めることしかできません。まだ彼は少年であり、ジェダに筋の通った会話をすることはできません。それでもロディはジェダの言葉に嘘はないと感じます。その純真な心が、この場面では最も求められているものでした。その意味において、このファーストコンタクトは、ジェダたちにとって予想以上の大成功を納める結果になります(そのことに彼らが気づくのは、だいぶ先の話ですが)。 ロディを救うために一人でタウト星に近づくカチュアの行動力には、本当に驚きました(ジェイナスの子供たちも、きっと同じでしょう)。彼女が小型艇を出すためにはエアロックを開けねばなりませんが、それを頼めるのはやはりジミーしかいなかったんですね。カチュアの行動を不審に思うケンツとシャロンの気持ちも分かりますが、そんな二人をいつになく厳しい口調でたしなめるクレアの態度が立派。そして、心配するジミーを気遣うバーツの一言も、いい味出してます。 無線を通じて、初めて自分の生まれた星の言葉を使って、自分が本来そちらにいるはずの「敵」に向かって話しかけるカチュアの気持ちがいかなるものだったか、想像を絶するものがあります。そして尋問室へ連行されるときの凛とした態度は、とてもまだ(推定)10歳の少女とは思えないほど立派なのです。 後半、ロディを助けるために自らバイファムを駆るわれらがスコット君の雄姿は、とてもよかったですね。もちろん、本人は大真面目だからこそ、見ていて気持ちがいいのです。彼の操縦が下手な分、視聴者は宇宙空間での動きを堪能できました(芸の細かい作画が臨場感を高めてくれます)。そうそう、スコットの指示に従ってジェイナスに残ったフレッドのことも、忘れてはいけません。兄さんが無事と聴いて声が裏がえってしまうほどの彼の気持ちを、ロディはどこまで気づいているのでしょうか。 手榴弾を投げた後、ちゃんと壁の反対側に移動するジェダたちの行動は、戦闘時の鉄則がしっかり描写されています。また、タウト星の異変を察知したジェイナスが状況を分析するシーンも、SF的な要素を盛り込んで見応えがありました。 私にとっては、この回はバイファムを語る上で欠かせない、重要な回でした。これからのストーリー展開のキーワードの多くが、ここで暗示されているように感じます。彼らには本当に悪いのですが、両親がいないと知って悲しむ子供たちの姿が、次回の名シーンにつながっていくのでした。おちびさんたち、君たちは本当に偉い!! |
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→上村
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