第8話
ジェイナス危うし! 敵は、内と外にいた?

各話チーフスタッフ
脚本 伊東恒久 絵コンテ 高松信司
演出 高松信司 作画監督 沙羽都慶央

ゲストキャラクター
ルルド…大塚芳忠 バリル…吉田孝
士官…荻原秀樹 作業員…海老原英人
ホルテ…渡辺美佐 ルービン…川上とも子
双子A…珠木美佑 双子B…間宮くるみ

アイキャッチ:
シャロン・フレッド・ペンチ

ものがたり
タウト星への軌道上
小型艇に乗り込んだルービンは必死の決意でルルド艦に接近し、攻撃を中止するように訴えた。攻撃を中止し、彼女を艦内に迎え入れたルルドは、避難民の収容が完了するまで停戦すると約束したが、密かにジェイナス攻撃に向けての準備をすすめる。その一方で、ルルドは自分の家族が住んでいたステーションが戦闘に巻き込まれ、誰も救助されなかったことを知って動揺していた。彼はルービンをジェイナスに戻す際、ジェイナスに収容されている避難民の写真を電送することが停戦の条件であると告げる。
ジェイナスに人質として残っていたホルテは、機転を働かして部屋から抜け出し、ブリッジにたどり着いた。そこで、ジェイナスには子供たちしかいないことを知り、愕然とする。ジェイナスに戻ってきたルービンの報告を聞いたホルテは、子供たちにジェイナスを離れて保護下に入るように説得するが、子供たちは態度を決めかねた。そして、ホルテたちに反発するバーツとケンツは、再び彼女らを人質として軟禁するのだった。

ほうがんのこだわり

ホルテは言います「あなたたちのことは、この私が命を賭けて守ります」。また、こうも言います「(子供たちは)私の手で、必ず救ってみせるわ」。今、この回を見直すと、このルービンの台詞が、自信にあふれた表情と共にとりわけ印象に残ります。…これらの言葉が、もし本当に叶えられたとしたら、この物語は一体どんな展開になったのでしょう。大人の世界の挫折という前半の大きなテーマを語る上で、今回のホルテの所作は重要な意味を持っていると感じます。
責任を果たそうとする大人たちを描くという点では同じでも、ホルテとルービンの果たし方には微妙な差があるようです。なかなかジェイナスへの帰還許可が下りずに苛立つルービン、そしてスコットたちの説明に泣き崩れるホルテ。こうした描写が、後の二人の運命(役割)をさりげなく暗示していきます。
一方、ホルテ達を連行するバーツとケンツの行動を「すみません、いつもこうなんです」とスコットは詫びます。が、いつもこうだったわけじゃないだろう! と感じたのは私だけではないでしょう。ホルテは「それだけ心が痛めつけられているのだわ、なんて不幸な子供たち」といかにも彼女らしく表現してくれましたが、そんな中でも子供らしさを失わなかったからこそ、彼らは輝いていたのです。その輝きを曇らせるような描写は、やはり例え一瞬でも見たくなかったというのが率直な感想です。
ホルテ達が連行されるまさにその時、ホルテは子供たちの中にククトニアン(カチュア)の姿を認めます。そこで交わされる一瞬の会話。もし、もしこの会話が、後の物語に少しでも活かされていたなら…。およそ、変更することのできない過去に「もし」を考えることはナンセンスです。でも、私はこの回を見るたびに思います。もし、この回まで物語を戻して、もう一度「13」の物語を作り出すことができるなら…。一見地味な回ではありますが、今回登場するエピソード群こそ、前作と新作の行き先を決定的に変える分岐点だったのかもしれません。

(2000.05.21)

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