第22話
とざされた道　ジェイナスに帰還せよ!

各話チーフスタッフ
脚本 平野靖士 絵コンテ 青木康直
演出 笠井賢一 作画監督 布施木和伸

ゲストキャラクター
ポール・チェンバー…緒方賢一 (リグレー…テロップなし)

アイキャッチ:
カチュア・ジミー・メリー

ものがたり
前回と同じ日〜翌日・「タウト星」(ロブスター号)
ポール夫妻にだまされたと知って、愕然とする子供たち。ケンツとシャロンは２人を捕まえると息巻くが、他の子供たちに諌められる。シャトルが離陸できる可能性があると知った子供たちは、両親がいるもう一つのタウト星へ向かおうとさっそく準備に取りかかった。検査の結果、シャトルに異状はないようだった。
翌日、子供たちはRVを用いて草原にシャトルを移動させた。その間に逃げ出したメリーを追うカチュアたちの前に、ポール夫妻が現れた。謝りに行こうとする二人に、カチュアが今は行かない方がいいと告げる。二人は、自分の息子に会いにこの星に来たことは本当だと語り、非礼を詫びて立ち去った。
準備が整い、シャトルは草原を滑走路として離陸を試みる。だが、草原の様子がおかしい。さらにシャトルのフラップも動かない。干上がった湖に転落する寸前、辛うじてシャトルは止まったものの、大破してしまった。

ほうがんのこだわり

今回久しぶりに物語は子供たちの意志で動き始めます。しかし、その道のりは怒り・希望そして絶望の間を往復し、子供たちは文字どおり翻弄されます。描くべき物語に事欠かなかった今回ですが、途中に挿入された意味の無いエピソード群が、本来の名エピソードを深める機会を失わせてしまった感があります。
それでも、今回は何も語らなかったわけではありません。結局子供たちを案じて戻ってきたチェンバー夫妻に子供たち(の一部)が再会する場面は、子供たちの側のキャスティングの妙によって見事な出来映えでした。メリーの扱いも含めて、この一連のシークエンスがいかに細かく計算されていたことか。ちなみに、ポールが植物学者であるという設定は、この場面で初めて活かされました。
そのチェンバー夫妻への感情をどう処理するか、子供たちはそれぞれ個性的な動きを見せます。もっとも直情的なのはケンツ軍曹です(さすがにやりすぎです)が、彼の所作は次回での銃の乱射、そして24話以降のポールとの交流へと繋がっていきます。そして「忘れたいんだ」と言葉を吐き捨てるスコット。彼が悪いわけじゃないんだけど、スコットは自分なりに責任を感じているのです。いささか過敏な動きを見せつつ(これもやりすぎです)、彼は責任を全うしようとします。
また、ロディとバーツが初めてRVに感情を投影したのも今回のトピックスでしょう(時系列では前作46話でのロディより前になります)。メカではありませんが、レッドベアーの旗が狂言回し的に使われていたのも印象的でした。個人的には旗の上におぼろに月ならぬククト星がかかるシーンがよかったです。
…と、ここまでであれば、この「13」から「バイファム」に触れたという方にとっては、冗長ながらも評価されるべき回だったといえるでしょう。事実、私も冷静に見ればそう思います。しかし、前作からのファンにとっては悪夢のような回であったことも、触れざるをえないでしょう。
おそらくは前作からのファンへのサービスとして挿入されたであろうBGMが、ここまで見事に作品を貶めてしまったことは、残念でなりません。とりわけ、もっとも無意味なシーンでもっとも無意味に響き渡る「Hello, VIFAM」は…

(2000.09.17)

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