第24話
残された道 輸送機を奪い取れ!

各話チーフスタッフ
脚本 外池省二 絵コンテ 吉本毅
演出 吉本毅 作画監督 近永健一

ゲストキャラクター
ポール・チェンバー…緒方賢一 (リグレー…テロップなし)
ククト兵…中田雅之

アイキャッチ:
スコット・クレア・マルロ・ルチーナ

ものがたり
前回と同じ日・「タウト星」(研究所の廃墟)
ポールは、子供たちをジェイナスに戻すと言ったものの、名案が浮かばない。しかし、リグレーの発案で、ククト軍を誘い出して、彼らの輸送機を奪うことにした。子供たちは不安を覚えつつも、この作戦に協力する。
ところが、ポールが通信機を修理したところ、ククト軍が先に撃墜した巡回隊の救助のため既にこちらに向かっていることが分かった。子供たちは急いで避難し、ロディとバーツはククト兵を捕らえるために落とし穴を作った。
果たして、輸送機に乗ってククト軍がやってきた。ポールたちは見事に兵士たちを捕らえた。ポールとケンツは輸送機に乗り込んで操縦を始めるが、昔とは操縦法が異なるため、うまくできない。結局、輸送機は墜落してしまい、子供たちはせっかくのチャンスを失ってしまった。

ほうがんのこだわり

およそ1年ぶりに見直したこの24話。率直に申し上げて、この話だけは「無ければよかった…」という思いを禁じ得ません。「こんなヤツ食ったら、カエルが腹壊すわ!」というマキの台詞は、初回放映時から変わることなく、私の思いをそのまま伝えてくれます。
さて、そのカエル君。たき火の周囲で焼かれる彼らはペンチとフレッドの会話でさらりと触れられただけですが、おそらくはチェンバー夫妻がこれは食用だと教えてくれたのでしょう。食料が不足していた子供たちにとって、これは何よりの朗報のはずです。でも、どうやって捕まえようか。そして食べ方は?
もし、この作品がここで時間稼ぎをする必要があったなら、こうした部分のエピソードを膨らませた方が、まだしも自然であったと思います。子供たちが動くエピソードが少なかったこの作品において、それはひょっとすると貴重な描写となり得たかもしれない。と思うのは、身勝手に過ぎるでしょうか。
さて、そんな物語の根本部分を別にすると(笑)、今回は「13」らしい子供たちの描写が、比較的丁寧に描かれています。スコットは今回の狂言廻しとして重要な役回りを演じます。期待と不安、そして失望をこれだけオーバーに表現できるのは、いまや彼しかいません。そしてケンツの描写は、これまでの直情ぶりを最終回へ向けて収斂させようとします。ポールの鮮やかな成功ぶりにすっかり魅せられたケンツは、これまでの不信感が幻だったかのようにポールにつき従います。その名コンビに課せられた仕事があのエピソードというのが、…ねぇ。そのケンツをなじるシャロンにそれを止めるジミー、落ち着いてはいても失望の表情を隠せないカチュアなどなど、ラストシークエンスでの子供たちの描写は、それだけ見る限りでは、なかなか楽しめたのは事実です。
…と、(決して少なくはないのですが)いい所探しをしても、虚しさが残ることに変わりはありません。私たちが今回目撃したこの破綻劇は、捕虜となったククト兵とともに、最終回まで物語の進行に暗い影を落とすことになります。

(2000.10.1)

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