「あずきちゃん」第11話
ときめき◆
はじめてのデート
| 脚本 | 浦畑達彦・若木ちえ | 絵コンテ | 浅香守生 |
| 演出 | 浅香守生 | 作画監督 | 北尾勝 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ☆ | ◎ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◆ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| 女子生徒 | 東さおり | ||
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | 橙色/あずき色リボン |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 希望 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | なし | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | 違うよね、勇之助くん | ||
| 金曜日、ヨーコが勇之助に次の日曜日に遊園地へ行こうと誘った。フリーパスが6枚あることを知った勇之助は、まことやあずき達も誘う。翌日、勇之助が他の子達も遊園地に誘ったのが不満なヨーコはホテルの温水プールにみんなを誘い始めた。勇之助がヨーコの誘いを受けたため、あずきは大ショック。日曜日、トモちゃんが行かなくなり、かおるも風邪をひいたため、独りぼっちのあずきは遊園地行きを諦めた。その帰り道、集合場所のタコ公園に勇之助が待っていた! 彼はヨーコにプールの日程を聞いて断ったのだった。勇之助と二人で遊園地で遊ぶあずきは、これってデートだよねと大喜び。帰り道、写真を撮りたかったと残念がるあずきを見て、勇之助は証明写真のブースで二人の写真を撮った。 (原作第11話に相当) (タイトルの「◆」は「ハートマーク」) |
| 今回の物語は、原作では小学生編最大のイベントと言えるお話であり、アニメ版もその辺りを十分に配慮しています。特に、あずきと勇之助が遊園地に入ってからの一連のエピソード群は、ほとんど原作と同じ展開・シーンが続きます。 特筆すべきは、原作のコマ割りや、その間を縫って挿入されるあずきの心理描写(モノローグ)が、ほとんど姿を変えずにアニメ版でも再現されたことでしょう。漫画とアニメって、似たようで全然違う一面を持つ表現媒体なので、両者の描写をそのタイミングまでシンクロナイズさせるのは至難の業です。しかし、制作スタッフは原作の流れ全体を完璧にアニメの中で再現しています。どうぞ、原作とアニメ版との絶妙のコンビネーションを堪能してください。 その中にアニメ版ならではの楽しさがあるという点も重要です。ジェットコースターは「動く」から楽しいんであって、漫画ではその様を想像するしかなかった私達に、実際に二人が乗ったジェットコースターが疾走する様子を見せてくれたアニメ版のすばらしさは、いうまでもありません。おそらくこのシーンを見た原作ファンの子供たちは、二人の幸せいっぱいなデートに拍手喝采したことでしょう。 一方で、あずきが遊園地に行くまでのエピソード群には、原作とは少しだけど重要な相違点が存在します。せっかくのチケットを勇之助があずきたちを誘うために使ったことにご機嫌斜めなヨーコちゃんは、翌日には温水プールに行こうと言い出します。なぜヨーコが温水プールを提案したのか、アニメ版ではかなり踏み込んだ描写があります。ここで提示されるヨーコの「ジェラシー」が次回の重要な伏線になっていたとは、私は全然気づきませんでした。 この追加エピソードのおかげで、今回のお話には原作にはない緊張感があり、私達を楽しませてくれます。とりわけ、勇之助がいったん温水プールに行くと言ったことに伴う、あずきの動揺と葛藤は、最後に訪れるハッピーエンドに向けて、見事な盛り上がりを見せてくれました。「誘われればすぐについていくなんて、その程度の男だったのよね」というジダマの台詞廻しもさすが。 それだけではなく、このエピソードをきっかけに各キャラクターが様々な方向に動き出していくのも見どころです。個人的にはあれこれ気を回すが最後まで報われないケンちゃんに拍手! 捉えどころのないまことと、そんな彼に一喜一憂するトモちゃんも魅力的です。だいずとケンの男の友情もサマになってきました。「勇之助くん」という言葉にまだ反応しないあずき母も見逃せません。 …もう、書き出すときりがないですね。今回のお話では余計なことを考えず、ただひたすらあずきの心の揺れを追体験することが、一番正しい楽しみ方なのでしょう。 これで脚本が雪室氏だったら、ということは私は考えません。この回は作品きっての名エピソードです。その事が何よりも重要なのです。 |
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