「あずきちゃん」第16話
おいしい!?
しょうゆ味のエビフライ
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 桜井弘明 |
| 演出 | 桜井弘明 | 作画監督 | 金子紀男 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ☆ | ◎ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | △ | ◇ | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| 勇之助の父 | 梅津秀行 | 勇之助の母 | 安藤ありさ |
| (かおる母) | (佐久間レイ) | ||
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | 橙色/あずき色リボン |
| 学校行事 | 1学期終業式 | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | なし | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | こうなったら、やるしかないの? | ||
| 夏休みが近づいたが、勇之助と会えなくなると思うと、あずきの心は沈みがち。あずきたちの成績がよかったので、家族で7月23日にレストランにお食事に行くことになったが、その日は勇之助の誕生日なので、あずきは気が気でない。でも、あずきのもとに勇之助から誕生日パーティーの誘いはかからなかった。当日レストランから帰宅すると、勇之助から電話がかかってきた。明日パーティーのまねをするから家に来ないかと誘いを受け、あずきは有頂天。翌日、勇之助の家に来たあずきは、勇之助と二人きりの時間を過ごし、今まで気づかなかった勇之助の姿を知る。やがて勇之助の両親が帰ってきて、あずきは家族と一緒に夕食をいただき、エビフライに醤油をかけるという小笠原家の習慣を知った。 (原作第13話に相当) |
| 第6話に続いて、誕生日にちなんた物語が登場します。こちらは原作でも登場する重要なエピソードですが、アニメ版では原作の物語進行をそのまま踏襲しながら、25分という放送枠をフルに使って、エピソードにアニメ版ならではの肉付けを行っています。それが全く違和感を感じさせないのは、スタッフの力量と共に、アニメ版としてのキャラクターが既に確立されているからでもあります。こんなのんびりした展開にもかかわらず、いや、だからこそ、みんないつの間にか自己を確立しているんですね。 原作では単にあずきと勇之助だけのやり取りだった、誕生日を巡るあれこれが、アニメではヨーコというライバルが絡むことによって、楽しくもスリリングなエピソードに変化しています。 水泳教室が始まっても勇之助がやって来ない理由をヨーコは知らないのですが、あずきはヨーコが知らないとは気づかず、焦りの色を見せます。さらに誕生日当日レストランで偶然出くわした二人は、互いの状況が分からないまま腹の探り合いをします。このあたりのちょっと背伸びしたやり取りが楽しいですね。で、最後にヨーコちゃんが…という次回へのプロローグがあるのですが、これが生きるのは、先に触れたレストランのやり取りがあってのものです。物語に深みを与えてくれるこうした演出は嬉しいですね。 あずきが勇之助の家に入ってからの一連のシークエンスは、原作の心理描写をそのまま活かしています。二人きりと知ってドキドキのあずきがなんともかわいい! でも、勇之助ぐらいの年頃の男の子ってそんなことを意外と気にしないんですよね。適度に散らかった部屋の様子とか、テレビゲームをセットする様子とか、勇之助の気取らぬ心を描いた描写が実に上手いと感じました。そして夕食ですが、醤油をここまで描くのがアニメ版ならではのこだわりです。そして、勇之助の父がきちんと描かれていることもポイント。 夕食といえば、あずきたちが頑張ったからとレストランでご馳走してくれる、あずきの両親の描写も見逃せません。はしゃぎまわるだいずは微笑ましいのですが、両親はなぜあずきが気乗りしないのか不審がります。でも、帰宅してからの1本の電話で母は何かを感づきます。でも父には分からない…こうした二人の違いがいかにも日本の普通の家庭らしくて楽しい。そして、この部分が作品全体に微妙な、でも大切な隠し味として働き続けることに、ぜひ注目してください。この作品の主題の一つである「家族」を巡る視点の場所は、事実上この回で確立されました。 ところで、交換日記の存在はかなり知れ渡ったようです。あずきにかまってもらえなくなり、ケンはちょっぴりかわいそう。でも、一番肝心な人にはまだ情報が伝わっていなかった…ということを意識的に作品は隠したまま、次回へ続きます。いや、この部分にこんな芝居がかかっているとは気づかなかった。 |
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