「あずきちゃん」第19話
お母さんの秘密!
想い出のファーストラブ
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 佐々木和宏 |
| 演出 | 佐々木和宏 | 作画監督 | 山田みちしろ |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ◇ | NA | ◇ | ◇ | ◎ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | NA | NA | ☆ | △ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| 隆三 | 関俊彦 | 仙台の伯母さん | 勝生真沙子 |
| 仙台の伯父さん | 園部啓一 | (△かおるママ) | |
| アイキャッチ | ジダマ | 髪飾り | ピンク/黄色ゴム |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | 勇之助からあずきへ(あずき母経由) | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | ケンちゃん、意外にいいところあるじゃない | ||
| 仙台の伯母さんの家に来て数日、郵便局で出会った隆三というおじさんが母の初恋の人かもしれないと伯母さんに言われて、あずきはびっくり。隆三の笑顔は勇之助とそっくりだったのだ。母が一人でこちらに来ると連絡が入り、あずきは母と隆三が親しくなるのでは、と不安に思う。果たして、隆三の車に乗って来た母はとてもオシャレをしていた。楽しげに会話する母と隆三たちの姿を見て、あずきはもしかして両親が離婚するのでは、と心配になり、一人牧場に向かった。やがてあずきの側にやって来た母は、確かに隆三は小学校の頃憧れていたけど、今はお父さんがいるわ、と優しく話した。母は勇之助の交換日記を持ってきてくれた。勇之助と会った母は、彼の方が隆三より素敵よと言ってくれた。 |
| 今回のお話は作品の中でも比較的地味なエピソードですが、私にとってはお気に入りの回です。あずきとお母さんの心の触れ合いはこれまでも幾度か描かれてきましたが、今回それが物語の中心に据えられます。あずきの恋物語という作品の本筋を活かしながら、それを膨らませるようにして家族の絆を細やかに描いていく、その肌触りの良さが、私の心の琴線に触れるのです(笑わないでお客さん=と言いつつ私も笑っちゃいますが=)。 自分の母親が見知らぬ人と親しげに話をしていたら、その人が母親の初恋の人だとしたら、恋という言葉を知る年頃の子供にとってはちょっぴり不安に感じることもあるでしょう。しかも、自分が今まさに恋に落ちているあずきにしてみれば、お母さんがもし隆三さんとこのまま親しくなったらどうしようと、どんどんいらぬ想像が進んでしまうこともあるかもしれません。ばかばかしいと思う事なかれ。そういうことを思い浮かべることができるのが、子供らしさであり、子供の特権であり、なによりあずきが母親を慕っている証拠です。あずきの揺れる心を丹念に描いていく演出の細やかな心遣いに、私は賛辞を惜しみません。 お母さんはそんなあずきをいかにも子供と思いながらも、決して馬鹿にした扱いはしていません。自分の愛する娘のいらぬ想像をきちんとたしなめながら、娘の思い人のことをちゃんと褒めてあげる…いや、勇之助はあずきの母にとっても安心できる相手だったに違いありません。娘の小さな(だけど重要な)選択の正しさをそれとなく認めてあげるお母さんの優しさと強さに、私は喝采を送ります。これがお父さんだったらそうはいかない、という残酷な一面をここでは見せない演出の配慮にも、こっそりと拍手を送ります。 その母の手で交換日記があずきに渡されます。あふれる思いでページをめくるあずき、そして絶妙のタイミングでかかってくる勇之助の電話。そこにはいないけど、あずきの母への思いが二人を結び付けます。母の優しい心遣いがあずきたちの上に注がれていることを、私達が、そしてなによりあずきが実感できたことが、この回の一番大切なことだと思います。 この大きなドラマの前には、どうしても他のエピソードはかすみがちで、ちょっとかわいそうな気もします。今回登場したまことの放浪癖は、この後も作品を大いに盛り上げてくれます。それにしても、妙なところには行動力抜群なんですなぁ。そんなまことと妙に気が合う隆三さんがなぜ独身なのか、なんとなく分かるような…。また、だいずの無邪気さが各シーンに花を添えてくれたのも嬉しかったです。「お母さんがあのおじさんと結婚してたら、ヨーコさんみたいなおねえちゃんが生まれたかなぁ?」…すばらしい発想に拍手! |
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