「あずきちゃん」第20話
ピリカラ!
恋の出前はラーメンの味
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 政木伸一 |
| 演出 | 政木伸一 | 作画監督 | 金子紀男 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ◎ | ◇ | ☆ | ◇ | ◎ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | NA | NA | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケンの父 | 矢尾一樹 | 勇之助の母 | 安藤ありさ |
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | 橙色 |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | 出前(野山家・小笠原家・野山家) |
| 交換日記 | あずき(勇之助に渡せず) | ユイ | 勇之助と散歩 |
| 次回予告 | (特になし) | ||
| あずきが仙台から帰ってきたところ、ケンが家業の中華料理店「満塁軒」の出前がてら、野山家に上がって勇之助からの電話を取っていた。怒るあずき。続いてだいずが急にいなくなってケンの出前を手伝っていた事が分かり、あずきはますます腹を立てる。翌日あずきはお土産を届けに勇之助の家に行ったが、蓼科に旅行に行って留守だった。その翌朝ケンは、勇之助の家に出前を出した丼を取りに行くのをだいずに任せた。しぶしぶだいずに付き添ったあずきが小笠原家に着くと、勇之助は旅行から帰っていたが留守だった。彼がなかなか帰ってこないので、あずきが自分の家に戻ると、玄関で勇之助があずきを待ちくたびれて眠っていた。お腹が空いたという勇之助に、あずきは昼食を用意してあげた。 |
| 今回のお話は、あずきと勇之助が互いに同じことを思っていたためにすれ違っていたけど、最後に無事巡り合えてハッピーエンド、という内容です。じゃあ、なぜサブタイトルがわざわざケン絡みなのか。私はそこに制作サイドの思いを見る気がします。 あずきにとってケンは昔からの幼なじみですが、勇之助という思い人ができてからはちょっとうっとうしい存在でもあります。おまけに親友かおるちゃんが彼のことを好きだと知ってしまい、さらに彼が自分(あずき)のことを好きらしいと聞かされるに至って、あずきにとってケンはますます扱いが難しい男の子になりました。なんて身勝手な、と思いますが、一方でその気持ちよく分かります。皆さんにだってこんな経験一度ならずあるでしょう? こんな普段着の暮らしぶりをこの作品は描いてくれるのです。 そのケンは、自分があずきのことが気になって仕方がないことぐらい、とうに気づいています。その反面、あずきが勇之助と次第に仲良くなっていることも感づいています。そんなケンの複雑な心情は、敢えて言葉にする必要がないでしょう。 でも、彼には彼なりの「美学」があって、それを貫こうとします。その不器用さと潔さがケンの魅力でしょう。そんなケンの一面はこれまでも登場したことがありますが、それがあずきの前で初めて素直に表現されたものとして、今回のエピソードは地味ながら重要な位置を占めています。極論すれば、ケンからあずきに「勇之助と幸せにやれよ!」と初めてエールを送ったのが、このお話なのです。 ところが、あずきはそんなケンの思いに気づかなかったと私は考えています。前回の次回予告にあった「ケンちゃん、意外にいいところあるじゃない」というあずきの台詞は、あくまでも制作サイドからのメッセージであって、あずきは小笠原家に行くときもしぶしぶ「だいずのお供」として向かっています。それに、せっかくの「新婚さんごっこ」にも邪魔してきたし…。 だけど、あずきはケンちゃんを憎めない。たとえケンの本当の思いはあずきには分からなくても、ケンちゃんがいい男の子だということは、あずきはちゃんと理解しているのです。それをことさら強調しなくても私達に感じさせてくれるところが心地よいのです。 さて、あずきからケンにいいように使われていると言われただいずですが、彼にとってケン兄ちゃんは頼れる兄貴分として、今や欠かせない存在のようです。少しでもケン兄ちゃんに近づこうと満塁軒を手伝うだけでも楽しいですが、親にただでラーメンを食べさせてあげられるから、という理由でラーメン屋さんになりたいと願うなんて、なんてすばらしい。そんなだいずが行方不明になったと慌てる母と、おっとり構える父との電話のやり取りも見逃せません。 今回初登場の満塁軒は、後の物語に度々登場することになりますが、その活躍を当時予想するのは、私にはさすがに無理でした。 |
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