「あずきちゃん」第22話
どうして?
忘れられた誕生日
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 桜井弘明 |
| 演出 | 桜井弘明 | 作画監督 | 金子紀男 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ★ | ☆ | △ | ◇ | ◎ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◆ | NA | NA | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ◎みのり | 亀井芳子 | 塾の先生 | 柴本浩行 |
| アイキャッチ | ジダマ | 髪飾り | 橙色/ピンク/赤ビーズ |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | 餃子のサービス出前(かおる) |
| 交換日記 | あずき(結局書けなかった) | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | ああ、どうなっちゃうの〜! | ||
| 夏休みの最後に、勇之助に誘われていた隣町の塾の夏期講習に行くことになり、楽しみなあずき。だけどなぜか一緒の講習に通うまことと行く羽目になったり、塾では勇之助と離れ離れの席になったりとさんざん。せっかくの帰り道も勇之助はまことと一緒に帰ると言い出し、あずきは一人で帰ることに。毎日こんな調子でだんだん塾通いが楽しくなくなったあずきは、とうとう風邪をひいて休んでしまった。講習の最終日はあずきの誕生日だったが、勇之助の無神経な態度にあずきはますます腹を立ててしまう。帰宅後、母からお使いを頼まれたあずきは、帰りに雨に降られてしまう。タコ公園で雨宿りしていると、あずきに誕生日プレゼントを渡そうと勇之助がやって来たのだった。 |
| 原作では、単行本版第14話の余白カットと第15話でわずかに触れられたエピソードですが、演出スタッフはそれに第14話のエピソードを大胆に接続させて、見事な物語を生み出しました。その手腕に心から賛辞を贈ります。 塾の夏期講習なんて単語を見るだけで今でも心が重くなりますが、今年のあずきに限ってはむしろ心が軽くなる楽しみなイベントです。だって、勇之助くんに誘ってもらったから。勇之助くんと机を並べて勉強できるから…。そんなあずきの気持ちを、私はかなり(笑)羨ましく思いながらも大いに共感しました。どんなに気が進まないことでも、好きな人と一緒なら何だか楽しく思えてしまう。そんな素直な子どもの気持ちが、画面からストレートに届いてきます。 だけど、世の中そんなにうまく行くとは限らない。という仕掛けで物語は動くのですが、冒頭の巨大すぎる期待感から一転して肥大しすぎた失望感へと、あずきの心象が変化する様子は、本作にしては大胆にコンストラストが利いた語り口がとても印象的です。間に挿入される、なんにも知らないかおるやジダマ、それにあずきの家族たちの言葉が、あずきの気持ちを一層追い詰めていくのも、巧みな演出です。ゲストキャラのみのりちゃんもいい味出してます。腹立ち紛れに勇之助に「明日は休むかも」と嘘をついたら、本当にそうなってしまうなんて、お約束とは言え、あずきには辛いですね。 そしていよいよ8月30日。夏期講習の最終日はあずきの誕生日でもあります。だけど、せっかくあずきの風邪が治ったのに、勇之助はそっけない言葉をかけるだけ。すっかり腹が立ったあずきは、帰りのバスで口を利こうともしません。家に帰ると、お母さんが買ってきてくれたケーキにろうそくが入っていないので取りに行くように頼まれます。ケーキ屋からの帰り、突然の雨に降られたあずきは、タコ公園の滑り台モニュメントの中で雨宿りをします。「もう、最低の誕生日なんだから…」 この台詞を折り返し点にして、物語は一気にクライマックスを迎えます。ここからのシークエンスは、ぜひ皆さんの五感で味わってください。個人的には、1本だけ灯したろうそくを吹き消すあずきの描写がすばらしい。その瞬間BGMもふっと消える演出が心憎い。ここでろうそくを出すために、わざわざケーキ屋さんに失敗してもらった伏線も上手い。二人だけの幸せな時間をここまで温かく描いた作品ってそんなに多くないと思うんです。普段着のままのキャラクターに許された最大限のロマンチックな演出に、私は心を奪われます。 勇之助のプレゼントは、あずき色の財布(パスケース)でした。これを買うためにまことに手伝ってもらったと正直に話す勇之助が私は好きです。確かにここまで天然ボケな面が目立ちますが、この率直さは、まさに本物の優しさと強さだと思います。 あずきちゃんのすてきな誕生日に、私からも、おめでとう! |
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