「あずきちゃん」第26話
秋深し!?
はなればなれのぶどう狩り
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 桜井弘明 |
| 演出 | 桜井弘明 | 作画監督 | 金子紀男 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ◎ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | ☆ | NA | ◇ | NA |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| トモの祖父 | 伊藤栄次 | トモの祖母 | 福島おりね |
| (△ヨーコママ) | |||
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | 橙色 |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 輸出 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | あずき | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | もう、ホントに嫌いなんだからー!! | ||
| トモちゃんが、祖父がやっているぶどう狩りにみんなを招待した。積極的に男の子にも声をかけるトモちゃんに驚くあずきたち。ところが割り込んで参加したヨーコの車で,当日午前中用事がある勇之助をはじめ男子全員が行くことになり、女子は大ショック。けれどぶどう狩り当日勇之助の用事が遅くなりそうなので、結局男子も女子と同じ電車で向かうことになった。道中トラブル続きだったものの楽しいぶどう狩りだったが、勇之助は来てくれなかった。いよいよぶどう園から帰ろうとするとき、あずきは道の彼方を駆けてくる勇之助の姿を見つけた。夕焼けに染まるぶどう園で勇之助と二人きりでぶどう狩りをするあずきは、今日の勇之助の努力を知って、改めて勇之助の優しさを知った。 |
| トモちゃんという女の子がようやく動き始め、物語もこのタイミングに一気に世界の幅を広げようとします。今回のお話はその過程の一つなのですが、その内容の充実度は一度ご覧いただければすぐにご理解いただけるのではないでしょうか。 今回ひょっとするとあずき以上に輝いていたのは、そのトモちゃんです。親友のあずきたちでさえ「クラス委員」というレッテルを外すことができないのですが、彼女はそれを受け入れつつも、その枠から抜け出そうと懸命になっています。ぶどう狩りにしても、実はあずきたちに声をかける前にまことに話をしているんですね。そのまことの意向に沿って、勇之助たちも誘おうとあずきたちに話を持ちかけるのですが、そこに全然厭味がないのはさすがクラス委員…とは誰も思っていないのが、トモちゃんの人徳なのです。 ところが、ぶどう狩り当日の電車でまことはトラブルを連発し、とうとう最寄り駅をすっ飛ばしてしまいます。引き返してくるはずのまことを待つトモちゃんの心境はどうだったのでしょう。そんなトモちゃんを心配したあずきは、自転車で彼女の待つ駅へ向かいますが、その途中でヒッチハイクで戻ってきたまことに出くわします。彼の無責任な行動(迷子の途中でゲーセンに立ち寄るか、普通?)に怒り心頭のあずきは、トモちゃんに「まこと君に一度ガツンと言わないと」とまくし立てますが、トモちゃんは「まこと君がちゃんと来てくれてよかった」と嬉しさをそっと表現します。 トモちゃんのそんな心情にあずきは心を打たれます。自分は勇之助くんにとてもそんな態度を取る自信がないよ…。あずき自身がそれを確かめることができることになるとは、この時点ではきっと諦めていたことでしょう。 しかし、勇之助は劇的な形であずきとの約束を果たしてくれました。二人きりのぶどう狩りで、今日勇之助がサッカーの試合に出ていたと聞いたあずきは、どうして教えてくれなかったのかと声を荒げますが、勇之助があずきのぶどう狩りも気遣って懸命に努力したことを知り、彼の心の広さと優しさに胸を熱くします。「大好き、勇之助くん」と心の中でささやくあずきの姿は、まことが到着したと知って喜ぶトモちゃんの姿に重なっていきます。 こうした各キャラクターの心情の微妙な色合いにあずきの恋模様を浮かび上がらせる演出は、当作品の目玉なのですが、今回はその巧みさが際立ったエピソードの一つでしょう。 今回の物語の影の功労者は、やはり背景美術でしょう。とりわけ夕焼け色のぶどう園とそこから見える夕映えの裏富士のシーンは、実際の風景を見事に作品の表現様式に取り込み、すばらしい効果を上げていたと思います。また、エピソード全体に緊張感を与えてくれたヨーコの役回りも見事でした。あの押しの強さはちょっと真似できない…。そして、途中の山麓駅でケン達が買ってきた缶ジュースのチョイスも忘れちゃいけませんね。 |
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