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「あずきちゃん」第32話

びっくり!?
にせカップルは誰


主要スタッフ
脚本雪室俊一絵コンテ高村彰
演出高村彰 作画監督新谷憲

主要キャラ動向
あずき勇之助ヨーコ ケンまことだいず
◇☆NA◇◇ ◇
ジダマかおるトモちゃん多胡先生あずき母あずき父
◎◇☆◇◇NA

ゲストキャラ
キャラ 声優キャラ声優
◎多胡夫人小林優子ケンの父矢尾一樹


定点観測
アイキャッチあずき髪飾り橙色
学校行事特になし教室の習字(なし)
給食主菜なし満塁軒なし
交換日記なしユイ登場せず
次回予告かおるちゃん、がんばって!



あらすじ
あずきと勇之助は多胡先生から昨日にひがし町のゲームセンターに行っただろうと問いただされた。あらぬ疑いをかけられた二人が帰る途中、トモちゃんが謝ってきた。昨日まこととその場所にいたところを私服の婦警に見つかり、彼女をかばおうとまことがあずき達の名前を出したのだった。まことの嘘に怒る友人達だったが、トモちゃんに迷惑をかけまいとするまことに応えようと、ジダマがまことと先生に謝りに行った。しかしトモちゃんは友達が自分のために嘘をつくことに耐えられない。そんなトモちゃんの苦しみに気づいた勇之助は、みんなで本当のことを先生に話そうと提案した。ところがみんなで先生に謝りに行くと、逆に先生の家に招待されてしまった。件の婦警は先生の奥さんだったのだ。


ほうがんのこだわり
普段は出番が少ないトモちゃんですが、いざ彼女がお話の中心に立つと、お話全体ががぜん輝きを増します。そのお相手がまこととくればなおさらです。別にまことのボケ加減のことを言っているのではありません。彼の持つ素直な優しさとトモちゃんの純な女の子の気持ちがブレンドされることで、二人の物語はとても温かな味わいに仕上がってゆきます。今回はそんな二人の白眉とも言えるエピソードでしょう。
ジダマ達が先生に嘘をついた帰り道、ハンバーガーショップであずき達に「ダメなの私!」と訴えるトモちゃんの表情に、胸がキュンとならない人はいないでしょう。友達が私のために手を尽くしてくれる、その優しさはとても嬉しい。でも、私のために誰かが罪を被るなんてことは、とても私には耐えられない…。こんな言葉を話す事ができるトモちゃんのどこまでも純粋で素直な心に、私は思わず目頭が熱くなっていました。誰でもみんな持っているはず、だけどその在処を忘れてしまったかもしれない大切な何かを、トモちゃんは大切に育んでいます。それが特別なことなんかじゃなくて、ごく普通の女の子にもあることなんだよ、という(本当は当たり前の)視点が、むしろ新鮮にさえ思えてしまいます。それほどまでにこの作品はすばらしい!
そんなトモちゃんの思いをきちんと受け止めることができたのは、あの「なんにも分かっていない」勇之助でした。「オレたち間違ってたんだよ」とさらりと言う台詞はちょっぴり軽いかもしれないけど、彼にはちゃんとトモちゃんの痛みも苦しみも自分の物として感じることができるのです。そしてあずきは、そんな勇之助の優しさを愛しているのです。
もうお分かりのように、トモちゃんは自分の悩みを打ち明けられる相手として、勇之助とあずきをわざわざ選んで声をかけたのでした。そんな彼女の必死な思いに答を出してあげた勇之助こそ、今回の真の主役なのです。
勇之助のそんな感覚は自分には持ち得ないと分かるから、ジダマも今回は勇之助を「いいとこあるじゃない!」と素直に認めるのでした。ジダマのトラブル時の余計なおせっかいはこれからも幾度か登場するのですが、今回がそれらの中でも比較的穏便な結果に終わったのは勇之助のおかげなのです。
ただ、お話があまりにもきれいすぎると楽しくない、というわけで今回もちょっとしたスパイスが利いています。その役を担った多胡先生の奥さんは今回限りの登場ですが、かの教育ママ眼鏡がきりりと決まって、ちょっとおっかないですね。ところが家の中では優しい気さくな奥さん、というギャップがお約束の楽しさ。ケンの言うとおり、多胡先生よりも奥さんの方が公私ともども「エライ」はずなのですが、奥さんは多胡先生のことをとても深く愛しておられる。その理由が一言も語られないのに、見ている私達にはよく伝わってくるという点が、今回のもう一つの見どころだと思います。


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