「あずきちゃん」第33話
初公開◆
かおるちゃんの恋物語
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 片渕須直 |
| 演出 | 小寺勝之 | 作画監督 | 君塚勝教 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ◎ | ◇ | ◇ | ☆ | △ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ☆ | NA | △ | ◇ | NA |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケンの母 | 村上はるみ | 女生徒 | 東さおり |
| アイキャッチ | かおる | 髪飾り | 橙色 |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 豊作 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | なし | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | いつまでも、仲良くしてね。 | ||
| かおるはケンの誕生日プレゼントにマフラーを編んだのだが、渡す勇気が出ないままあずきに預ってもらった。その帰り道、雨に降られたかおるは、3年生の時ケンを好きになるきっかけの出来事を思い出す。雨に降られて泣いていたかおるにケンが傘を貸してくれたのだった。後日、3年生の時と同じようにケンから傘を借りたかおるは、ケンがあの日のことを覚えていることに気づき、あずきからプレゼントを返してもらった。それでも渡せないかおるだったが、1週間後ふとした契機にケンにプレゼントを渡すことができた! その日の帰り道、かおるは自分がプレゼントしたマフラーを首に巻いたケンに出会い、嬉しさに涙するのだった。(原作の番外編「かおるちゃん」に相当) (サブタイトルの「◆」は「ハートマーク」を示す) |
| しばらくアニメオリジナルのお話が続いていましたが、今回からの3話は再び原作に基づいたエピソードになります。各話はいずれも傑作の名に恥じないもので、作品第1期のクライマックスといえるでしょう。 今までかおるちゃんをメインに組み立てたお話は、どれもかおるちゃんのちょっと意外な一面に焦点を当てたものだったと思います。でも、今回は違う。かおるちゃんの一番彼女らしいところを取り出し、それをただまっすぐに描くことだけに専念しています。それは、ベースとなった原作「かおるちゃん」とほとんど同じ描き方でもあります。 実際、今回のお話は原作をもとにしたアニメ版エピソードの中でも、総合的にはもっとも原作に忠実な演出だと感じます。雨の最初の一粒が鼻の頭に当たると両思いになれる、というおまじないから始まって、夕方の商店街でケンに出合うかおるまで、原作のわずか24ページの中に込められたかおるの様々な感情を、アニメは肌触りを保つことに腐心しながら、淡々と描いていきます。とりわけ、アニメ版ではじめての演出となるあずき以外の人物＝かおるによる独白は、原作での彼女の台詞をほぼそのまま踏襲しています。それが原作とほとんど同じ肌触りであり続けていることが如何に困難な作業か、言葉を継ぐ必要はないでしょう。 こうして描き込まれたかおるの心情が、最後の商店街のシークエンスでついに実を結びます。ケンに「お前、いつも今日みたいにしろよ!」と言われたかおるは一瞬きょとんとしますが、ケンは「…いっつも人に頼んでよ! ちょっとは自分で働けよな! そうすれば、こうやって…」とマフラーに手をやり、「まあいいや。じゃあな!」と駆け去ります。ケンがちゃんと自分の気持ちを受け止めてくれる存在だと、かおるは初めて分かったのでしょう。いまや涙でボロボロのかおるは「もっとがんばるよ!」と、通りの向こうのケンに誓います。 うん、もっと頑張ってほしい。そう思う私の視線を、ラストシーンであずきと勇之助が代わりに預ってくれます。このアニメ版独自の演出があって、このお話は女の子の成長というテーマを、一気に作品全体を見渡せる高みにまで持ち上げてくれます。このすてきな飛躍こそが、今回の演出の最大のポイントでしょう。これぞまさに「番外編」、それが本編に繋がるのが嬉しい。 そして、あのぶきっちょなケンが唯一見せるマフラーに手をかける「男」のカットと、あずきと勇之助を囃し立てるいつものシーン。これがきちんと動きを持って登場してくれるところに、私はアニメ版のならでは幸せを感じるのです。 さて、今回はかおるの引き立て役に回った他のキャラですが、その中でもヨーコちゃん、アンタは偉い! 英会話という原作の設定から「声の交換日記でーす!」を作り出したスタッフに拍手! そして今回限り登場の幻のケンの母にもぜひご注目を。 |
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