「あずきちゃん」第36話
ショーゲキ!
ジダマの恋の物語
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 政木伸一 |
| 演出 | 政木伸一 | 作画監督 | 新谷憲 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ◇ | ◇ | △ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ☆ | ◎ | NA | NA | ◇ | NA |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ◎杉田刑事 | 森川智之 | 杉田刑事の妻 | 兵藤まこ |
| 女子生徒 | 東さおり | ||
| アイキャッチ | ジダマ | 髪飾り | ピンク/黄色/ピンク |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | 肉団子とスクランブルエッグ | 満塁軒 | (ケンが出前) |
| 交換日記 | なし | ユイ | 勇之助と散歩 |
| 次回予告 | もう、マフラー編むのやめようかなぁ | ||
| ある日、ジダマの家に空き巣が入った。その翌日からジダマの様子がおかしいので、あずき達は心配に。ジダマが「また空き巣に入られないかな…」とつぶやくのを聞いたかおるは、彼女が空き巣に恋をしたと思い込み、あずきもそれを信じてしまう。その空き巣が捕まった翌日、ジダマが弁当を届けに警察に行くのでつき合って欲しいとあずき達に頼み込む。当日しぶしぶ警察までやって来たあずき達は、ジダマの恋の相手が空き巣を捕まえた杉田刑事だと知って一安心。杉田刑事の計らいで彼の家に立ち寄ったジダマ達だったが、玄関から奥さんが…! 一人帰るジダマに声をかけられない二人。翌朝、何事もなかったようにはしゃぐジダマだったが、彼女の心の痛みに気づいたあずき達は胸が痛むのだった。 |
| 原作に密着した回が続いたこともあり、今回はちょっと息抜き的なお話になります。これまでさんざんあずき達の「男の子の話」を毛嫌いし、蔑み続けてきたジダマに、ついに恋の芽生える時が来た…か!? というのが、今回の要点。その結末は誰にでも容易に想像できるだけに、どのように物語を盛り上げるか、制作スタッフはずいぶん苦労されたのではないでしょうか。 空き巣に入られた翌日のジダマのふぬけた小学生ぶりの描写は、これまでジダマがそんな姿を見せたことがないだけに、一層不自然さが際立っていて、見事な効果を上げていたと思います。ジダマが給食を残すことでこれだけクラス中が騒ぐというのが楽しい。彼女が5年2組の中でどんな場所を占めているのかを強く印象づけるシーンでした。 そんなジダマを見ているうちに、あれは恋の病だとひらめくかおるちゃんはさすがですね。ただ、ここでジダマの「あぁ、また空き巣に入られないかな…」というつぶやきが、かおるの推理をあらぬ方向に導き、物語は意外な進行を見せます。いくらなんでも空き巣を好きにはならないよ、と私は思うのですが、小学生の女の子にはそういう恋もドラマチックであり得ると思う(というか期待してしまう)かもしれません。 数日後、お弁当を渡すと警察署に向かったジダマに付き添ったあずきとかおるは、ジダマの恋の真相を知って安心する、と言うより気が抜けてしまいます。ここで杉田刑事がジダマ達を家まで送ろうと誘って、物語は一気に進み始めます。 その結末は、まるで私たちの予測をそのまま見せようとしたかのように描かれました。刑事の家を立ち去る一瞬、涙声で大人びた挨拶をするジダマの描写がすばらしい。その翌日、元気に振る舞うジダマの姿も、彼女ならかくありなんといったところですが、ここであずきが「ジダマの目が赤い」ことに気づく(ただし、画面では確認できません、というより、あのキャラデザインではそれを描き込めません)というさりげない演出が、お約束の進行の中にちゃんと作品としての署名を残しているように思えます。 今回は、こうした些細な描写の積み重ねでじっくりと物語を進めようという趣向が強かったように感じます。あずきの髪飾りが(本人のイベント以外で)3回変わるのもその一例でしょう。あずきが黄色の髪飾りをつける日曜日、警察署に向かうジダマのお下げ髪にはピンクのリボンが揺れています。和服姿の似合いっぷりはお見事なのですが、私はむしろこのリボンにジダマの心情を見る思いがします。 そのジダマがあずきに悩み(?)を打ち明けるとき、コーヒーに角砂糖を入れ続け、そのまま飲んでしまうシーンは笑えました。朝の教室でのケンとまことの刑事ドラマ、そしてだいずの迷推理と、コミカルなシーンが場を彩ってくれます。ここしばらく濃厚なお話が続いただけに、視聴者にはちょうどいい息抜きとなったかもしれません。 |
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