「あずきちゃん」第39話
さようなら!
ふたりの交換日記
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 小島正幸 |
| 演出 | 小島正幸 | 作画監督 | 芦野芳晴 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ☆ | NA | ◎ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | NA | ◇ | ◇ | NA |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケンの父 | 矢尾一樹 | 中学生A | 高山勉 |
| 中学生B | 舟津俊雄 | 中学生C | 永野広一 |
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | 緑/ピンク |
| 学校行事 | 冬休み | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | あずき紛失→ケン→勇之助→あずき | ユイ | 勇之助と散歩 |
| 次回予告 | 第1期のエピローグが放映された | ||
| あずきはふとした事で、コンビニのコピー機に交換日記を忘れてしまう。それに気づいたあずきは急いで戻ったが、日記は既になくなっていた。勇之助に知られたくあずきは、懸命に取り繕う。満塁軒にいた中学生3人組がその日記らしいノートを読んでいたと知り、あずき達はその中学生を探し始めた。翌日中学校に乗り込んだあずき達はその3人組を見つけたが、彼らはそれを満塁軒に置いて来たらしい。しかし、いくら満塁軒を探しても見つからない。しょんぼり帰宅するあずきを待っていた勇之助は、あずきに交換日記はもう終わりにしようと提案した。ショックのあまり駆け去るあずき。追いついた勇之助は、もう二人には日記がなくても大丈夫だと語り、ケンが探してきた日記をあずきに手渡した。 |
| 「あずきちゃん」という作品で一番大切なアイテムはと問われれば、迷うことなく交換日記と答えます。アニメ版第1期のフィナーレを迎えるにあたり、スタッフは原作とは大きく異なる役割をこのアイテムに与えています。 あずきにとって勇之助君とつながっていると感じる事ができる何よりの証が、交換日記だったのかもしれません。その大切なノートをなくしてしまい、大慌てするあずきの姿が印象的です。普段なら厭味の一つも言いそうなジダマですら今回ばかりは純粋に心配してくれますが、それはこのノートがあずきにとってどれほど大切なものかを、友達みんなが知っているからです。 コンビニにもない、苦労して見つけた中学生も持っていない、満塁軒にもない…どこにもない! 焦るあずきの気持ちを、画面は要所要所でさりげなく映し出します。幾度か勇之助に出会ったときに見せる取り繕い方は、痛々しいほどです。だけど、勇之助はそんなあずきの必死の思いに気づいていません。交換日記をなくしたことはだいずから聞いたとあずきにあっさり告げた勇之助は、なおも話し続けます。「そろそろ終わりにしないか、交換日記?」 このシーン、勇之助は実に正しいことを言っているのですが、あずきの耳に彼の言葉はもう届きません。凍りついたあずきの顔をヘッドライトがさっと照らすカットは、作品全体を通じても稀有の演出です。たまらず走り去るあずきを追いかける勇之助には、何が彼女をそうさせたのか分かっていなかったことでしょう。 そう、二人が知り合って9か月も経つのに、二人の気持ちは今でも大切なときにすれ違うのです。勇之助がなんにも分かっていないから。あずきがジェラシーに燃えるから。理由はたくさんあるでしょう。 でも、その理由に気づいたとき、勇之助は大きな一歩を踏み出します。二人が互いに素直だから、時にはすれ違い、けんかもする。だけど、今はそれを互いに話すことができる…。あれだけ「なんにも分かっていない」ように描かれ続けた(実際ほとんどその通りの)勇之助ですが、心のつながりという一点においては、彼は純粋な正しい感受性を身につけています。それを相手への優しさのために用いることができるのが、勇之助という人間なのです。 そんな勇之助の心を受け止めることが出来たとき、あずきも彼と同じ向きに歩み始めます。その歩みはまだたどたどしいけど、一緒に歩く事ができる喜びを、あずきはしっかりと感じているのです。その表現が雪遊びというのが、いかにもこの作品らしくていいじゃないですか。 この物語に重要な役目を果たしたケンの男気も魅力的でしたね。また、ヨーコを休ませることで物語がピュアな仕上がりになったことも見逃せません。 こうしてアニメ版第1期は幕を閉じます。交換日記という作品最大のアイテムを敢えて封印することで、アニメ版は原作と別れを告げ、あずき達と共に新しい「あずきちゃん」の世界を歩み始めるのです。 |
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