「あずきちゃん」第40話
春満開!
クラスそろって初恋ブーム
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 坂田純一 |
| 演出 | 坂田純一 | 作画監督 | 春日井浩之 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ◎ | ◎ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | NA | NA |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケン父 | 矢尾一樹 | ☆香月美奈 | 篠原恵美 |
| 男子生徒 | 東さおり | ||
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | ピンク/橙色 |
| 学校行事 | 一学期始業式 | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | 香月先生(ラーメン・餃子・チャーハン大盛り)、だいず(ラーメン)、まこと(ジュース) |
| 交換日記 | なし | ユイ | 香月先生と散歩 |
| 次回予告 | やっぱり私も欲しいなぁ | ||
| もうすぐ新学期のある日、あずき達が町を歩いていると、喫茶店で勇之助ときれいな女性が話をしていた。その女性はケンやまことの前にも現れ、あずき達は訝る。一学期始業式で、その女性が新任音楽教師の香月先生だと知ってみんなびっくり。浮かれる男子に女の子はご機嫌ななめ。勇之助が香月先生にユイの散歩をさせたと聞いたあずきは、すっかり腹を立ててしまう。翌日、香月先生の部屋に引っ越しの手伝いに行ったまこととケンは、先生が赤ちゃんを抱いている写真を見つけ、先生が結婚していると思い込んですっかり落ち込んでしまう。あずきとユイの散歩をする勇之助は、だいずからその話を聞いて、先生は独身だと大笑い。あずきは勇之助に、ケンたちの誤解を解かないでと頼むのだった。 |
| 今回から第2期。あずき達の舞台がもう一度「5年2組」であることをごく簡潔に紹介することで、アニメがさりげなく原作と別れを告げた展開になることを示しています。原作と同じ部分と異なる部分を一気に馴染ませて、早急にアニメ版としての「あずきちゃん」の世界を作り上げるために、スタッフは巧みに始業式という季節ネタを織り込むことで解決を図りました。 冒頭から登場する素敵なお姉さんこそ、今回の主役でしょう。とにかく描画レベルがやたらと高い。喫茶店で勇之助と話すときのうっとりとした表情は、このキャラデザインで表現可能な究極の姿ではないでしょうか。いや、あの表情には私も惚れてしまう(笑)。 この女性、満塁軒で一人で三人前も注文したり、まことの席を取ってレーシングゲームに打ち込んだりと、序盤から大活躍です。でも、彼女のお相手の男子にホの字の女の子にとっては大迷惑な話で、あずきはいきなりジェラシーモードに入ってしまいます。 そのお姉さんが僕たちの音楽の先生だ、と知ったまことやケンの喜びようが楽しい。その姿に嫉妬するかおるたちがまた微笑ましい。そんな男子と女子の鞘当てを知ってから知らずか、相変わらず天真爛漫に振る舞うことで、香月先生の居場所が見えてきます。ジダマの言うとおり、あずき達とは一回りほどしか変わらないけど、かおるの言うとおり「大人の魅力」を先生は放っているのです。 そんな先生と勇之助が実は知り合いだ、と知ったあずきはジェラシーを一層燃え上がらせますが、勇之助はなかなか気づかない。先生にユイの散歩をさせたと怒るあずきの様子に、「ユイは雌なんだけどなぁ」とこぼすあたり、絶品です。だけど翌日には、ちゃんとユイを連れてあずきの家に向かい、彼女の誤解を解いてあげます。 子供たちの身近なところで事件が起こり、あずきが勝手に腹を立てて、それに気づいた勇之助が気を利かせる。第2期以降の典型的な構造の一例が、今回理想的な形で登場していることが分かります。そこに香月先生を織り込むことで、彼女をすっかりこの世界の住人に仕立てたのです。 そしてもう一人、ケンの父も準レギュラーとして定着することになります。あの息子にこの父ありき、と誰もが思う所作がきちんと描かれていることに注目してください。香月先生が妊娠していると聞いて、だからあれだけ食べるんだと物知り顔で解説するあたり、お見事です。 その他、まことやケンの舞い上がったり落ち込んだりと忙しい描写も楽しいですが、個人的にはエピローグのイラストで、機嫌を直してもらおうと媚を売るまことにツンとしたままのトモちゃんの姿が、とてもお気に入りなのです。 エンディングも変わり、名実共にオリジナルとなったテレビ版第2期は、こうして幕を開けました。あずきのジェラシーが作品のいわば屋台骨となることを描くことで、この作品は静かに、だけどしっかりと新しい方向に舵を切ったのです。 |
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