「あずきちゃん」第47話
ライバル出現!
どうするの勇之助くん
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 小寺勝之 |
| 演出 | 小寺勝之 | 作画監督 | 平田かほる |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ☆ | ◇ | ◎ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | NA | NA | NA | NA |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケンの父 | 矢尾一樹 | ◎東条先輩 | 林延年 |
| 勇之助の母 | 藤本かをる | 女子生徒 | 東さおり |
| △(かおるママ) | |||
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | ピンク |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 友情 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | ラーメン(あずき達3人) |
| 交換日記 | なし | ユイ | (具合が悪い) |
| 次回予告 | 先生、やめないで! | ||
| ケンが所属する野球チームの東条先輩が、ケンにあずきを紹介してほしいと頼んできた。断りきれないケンはあずきに頼み込み、結局あずきは翌日東条と面会した。オレと付き合わないかと迫る東条の押しに、あずきは断りきれない。勇之助にその事を話すと、逆に東条先輩を紹介して欲しいと言われ、戸惑うあずき。数日後、再び東条と会う約束をしたあずきは、勇之助も誘ったが、ユイの具合が悪くなってしまい、またも東条と二人きりに。その日の電話での勇之助の無頓着な会話に、あずきは気分を損ねてしまった。翌日もあずきを誘った東条は、改めてあずきにつき合ってほしいと頼む。でも、もっと勇之助のことを信じるべきというかおるの言葉を聞いたあずきは、勇気を出して断るのだった。 |
| 「あずきちゃん」第2期の白眉とも言えるベストエピソードの一つです。あずきが勇之助以外の男の子から好かれるという展開は、コミック版中学生編を連想させますが、テレビ版ではあくまであずきの一瞬の迷い(といえば彼女に失礼ですが)を描くエピソードとして登場します。 今回の最大の見どころは見事な作画による感情表現の巧みさでしょう。コンテ+演出の小寺勝之氏と作画監督は今回が初めてとなる平田かほる氏のコンビによる、綿密な画面構成と絶妙なキャラクターの動きが、各キャラクターの心理を見事に描き出しています。特に、最後にタコ公園で話をするあずきと勇之助の場面は、この作品のベストシークエンスの一つといっていいでしょう。あの単純なキャラデザインからここまで深い表情を汲み出し、細かな心情変化の一瞬を機敏に画面に映し出したことは、奇跡的ともいえるでしょう。二人の視線や仕草の一つ一つにこめられた心の綾を、映像をご覧になれる皆さんはぜひ味わってください。 さて、今回のあずきを支配する感情は今までの単純なジェラシーとは異なり、ちょっと複雑です。これまでは勇之助の側に様々なアプローチがあることがきっかけだったのですが、今回はあずきの側に…それもあのヨーコですら羨む相手(笑)から…アプローチがあったのですから。ここで「私もまんざらじゃないのね」なんてこれっぽっちも思っていないのが、あずきのいい所でしょう。それほどまでに勇之助くんが本当に大切な人なのに、それなのに勇之助くんが私の気持ちに気づいてくれない…という、どうすることもできない不安にあずきは、文字通り戸惑います。 だけど、ここでの勇之助は「なんにも分かっていない」のではなく、無条件にあずきを信じているという点が、こ今回のお話を際立たせるもう一つの特色になっています。だからオレは何にも心配していないけど、だけど、お互いに何かが足りない…。その何かをあずきに上手く表現できない勇之助が、タコ公園のベンチで一人ぽつねんと座っているカットは、これまでこの作品では見られない勇之助の心理を描いたものとして、たいへん重要です。 ここで重要なのが、かおるとケンの役割です。とりわけ、あずきを登場先輩に紹介「してしまった」ケンの心境を察すると、私は胸が苦しくなりそうです。そのケンが、先に触れたカットの勇之助の前に現れ「ちょ、ちょっと、いいか…」と語りかける場面は、ケンの男気が感じられるいいシーンですね。続く会話をあえて描かないところが粋なのです。また、次第に自分の行動が見えなくなるあずきに、「もっと勇之助くんを信用してあげたら?」と彼女の居場所を示すかおるもすばらしい。今回、この二人がいなかったら、あずきと勇之助の関係はもっと危うくなったかもしれません。 そして東条先輩。あなたは素敵です。彼なりの男の美学が今回を爽やかな味わいに仕立ててくれたことを、最後に指摘しておきます。 |
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