初回放送時ちょうど夏休み直前(7月16日放送)だったこともあり、今回はちょっと一休み的な仕上がりとなっています。要するに、ついに夏休みがやってきた! ということを言いたいがために、延々とサイドストーリーを紡いだのが、今回のお話です。たまにはスタッフも息抜きしたいところでしょう。
今回の主役コンビは一応ケンとまことということになるのですが、実際にはケンとだいずの関係の方がよりクローズアップされており、それが物語を引っ張ってゆきます。「♪もしもしかめよ、かめさんよ」と歌ったり、「ボク、ケンにいちゃんをおいて一人で帰ったりしないよ」と真顔で言ってみたりと、今回だいずが見せるケンへの健気な姿は、ケンならずとも思わず涙が出てしまいそうなぐらいでした。ケンよ、本当にいい弟子を持ったものだぜ。ケンもそんなだいずをすっかり信用しているようで、誰にも内緒にした亀の行き先をだいずにだけはちゃんと告げているのでした。そこ…ジダマの家の庭…にわざわざ餌のパンくずを持っていった帰り道、ばったりジダマと遭ってしまった時のだいずのポーカーフェイスぶりにもぜひご注目ください。
お騒がせのもととなった亀は、学校のプール→トモちゃんの家→ジダマの家の池→お金持ちの家→ヨーコの家の池と、わずか2日間で目まぐるしく居場所が変わります。最初はケンたちだけの問題だったのが、巻き込まれる人数が次第に増えるにつれ、亀を心配してくれる人も増えてきます。とうとうヨーコの家にいると聞かされた時の女子3人のリアクションがなんとも楽しい。あれだけ亀を嫌っていたジダマでさえケンたちの行動をなじるのですが、ケンにとっても断腸の思いなのです。「人の気も知らないで…!」とジダマに啖呵を切るケンの気持ち、よく分かります。
ところが事態は急転直下、授業中のヨーコの意外な発言に、ケンの仲間は開いた口がふさがりません。事情を知らないのはヨーコだけ、ではなく、実はこの時点では勇之助も真相を知らないことにお気づきでしょうか? つまり、今回のお話は勇之助が物語の進行に主体的な役割を何ら果たさなかったという、おそらく作品初のシチュエーションが展開していたことになります。私が冒頭に「一休み的」と述べたのは、こうした独特の構成を表現しているつもりなのです。
ところで、今回のお話にはもう一つ重要な点があります。自分の体が去年からほとんど成長していないという事実を、「水着がきつくない!」と受け止めたあずきの心中はどんな物なのでしょう。せっかく(?)驚いて水着姿を隠したのに、だいずには「ボク見たくないもん」とあっさり受け流されてしまい、ちょっぴりむっとなるあずきの姿に、思春期に入ろうとする女の子の微妙な心情を見た思いがします。
…そして、いよいよ夏休み! そう、結局、これさえ言えれば今回はよかったのです。 |
