「あずきちゃん」第54話
やめて!
勇之助くんのお見合い
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 坂田純一 |
| 演出 | 坂田純一 | 作画監督 | 春日井浩之 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ◎ | ◎ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | △ | ◇ | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケンの父 | 矢尾一樹 | ☆香月先生 | 篠原恵美 |
| △勇之助父 | △上條さん | ||
| △ヨーコパパ | |||
| アイキャッチ | ケン | 髪飾り | 橙 |
| 学校行事 | 1学期終業式 | 教室の習字 | (なし) |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | (香月先生家に出前)冷やし中華 |
| 交換日記 | (特になし) | ユイ | (勇之助の海パンを齧る)勇之助と散歩 |
| 次回予告 | だいず! なんで家にニワトリがいるのよ!! | ||
| 香月先生のアパートに行ったケンとまことは、部屋にあった絵皿に写っているかわいい女の子がてっきり先生の妹だと思い込み、先生の部屋にいると聞いた二人は一目見ようとのぞき見する始末。さらに勇之助と先生の妹がお見合いをするという噂が飛んで、あずきも気が気ではない。実は、勇之助の父の会社の新入社員上條さんが香月先生の同級生だと分かり、父ががとりもって久しぶりに逢うことになっていたのだ。絵皿の女の子は上條さんが撮ってくれた香月先生だと知って、あずきは先生がいまでも上條さんが好きなのだと直感した。翌日のプール教室に突然香月先生が監督にやって来て驚く子供たち。帰り道、勇之助はあずきに真相をを告げ、あずきはふと勇之助が遠くに行ってしまう恐れを感じた。 |
| 今回から物語は2回目の夏休みモードに入ります。作品中では、夏休みと言えばプール! という幸せな子供達ばかりなのがちょっぴり羨ましかったりしますが、今回はそこに意外な物語が挿入されます。この行き場のないやるせなさは、従来の作品ではほとんど見られなかったものであり、今回の仕上がりは作品全体を通じても独特の味わいとなっています。 今回の事実上の主役である香月先生は、40話でのデビュー以降常に子供達の憧れの的として描かれており、今回のエピソードはそれを存分に活かしています。あずき達に絵皿の女の子の真相を話す際の思い出をいとおしむような表情、神社の縁日での上條さんとの一瞬のツーショットで見せる嬉しさあふれる表情、そしてプールサイドで元気いっぱいに振る舞ってみせる表情、どれもが「先生」ではなく、一人の女性としての香月美奈(先生の本名です)の魅力を余すところなく表現しています。あの単純なキャラデザインからここまでの演技ができるのは、作画スタッフの健闘(作画監督の春日井浩之氏は40話も担当でした)はもちろん、作品そのものの力に拠るところが大きいでしょう。 あずきと勇之助が断然香月先生の恋を応援すると誓った道すがら、空が急に曇ってきます。同じ空の下、上條君からの電話を取った香月先生は嬉しそうに昨日のお礼を言いますが、相手の話に「えっ?」とだけ声を上げます。そこから先、声の演技はなく、絶妙のタイミングで流れるBGMと共に、画面は雨の降り出した窓の外から先生の姿を追いかけていきます。あえて全てを語らないところが心憎い、作品屈指の名シーンにぜひご注目ください。 翌日、プール教室でやたら張り切る香月先生の姿を一人心配げに見ていた勇之助は、帰り道あずきに真相を話します。意外な結末にショックを受けたあずきは、勇之助もまた転校生であったことを思い出し、自分を香月先生の姿に重ねます。それが何ら根拠のない不安であっても、勇之助に抱きつくしかないあずきの切ない気持ちを、勇之助はどう受け止めていいか分かりません。そしてもちろん、いつの日か自分達にも…というのは、最終話まで見たから言える話ですが、このエピソードが最終話に与えたものは、決して少なくないのです。 今回はどうしても香月先生(とその水着姿…「ナイスバディ!」と囃すまことが楽しい)に眼がいってしまいますが、いかにも子供達らしいエピソード満載だったことも楽しいところです。先生のかわいい妹がアパートにいると信じきって、わざわざ電柱に上って偵察するケンとまことの姿には、拍手喝采です。かおるちゃん、男ってそんなものなのよ。そしてもう一人、せっかく自慢の水着でアピールしようと頑張ったのに、わずか1日で香月先生に男子の視線を持っていかれてしまったヨーコちゃんにも拍手。それにしても、まことの勘違いぶりは、もう芸の領域ですね。 |
 |  |  |  |
| ホームページに戻る | 目次へ | 前の話へ | 次の話へ |