「あずきちゃん」第69話
サスペンス!
ねらわれた わたし
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 熊谷雅晃 |
| 演出 | 熊谷雅晃 | 作画監督 | 金子紀男 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ◎ | ☆ | ☆ | ◇ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ☆ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ケンの父 | 矢尾一樹 | 佐伯 | 伊崎寿克 |
| ヨーコママ | (松本梨香) | ||
| アイキャッチ | ケン | 髪飾り | 橙 |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 秋季 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | チャーシューメン・ラーメン大盛り(佐伯) |
| 交換日記 | なし | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | も、もしかして転校!? | ||
| あずきのマンションの周りを怪しげな青年がうろうろしているらしい。満塁軒にやってきたその青年は、ケンにあずきのことをいろいろ尋ねてきた。機転を聞かしたケンは、ヨーコの家の電話番号を教えた。翌日、電話で呼び出されたヨーコが帰ってこないと騒ぎになるが、ひょっこり帰ってきたヨーコはなんでもないとはぐらかしたが、だいずがヨーコの行動を目撃していた。翌日もヨーコはどこかへ出かけて帰ってこない。誘拐されたのではと心配する一同だが、勇之助はだいずの証言などから真相を推測する。あずきの家でヨーコの帰りを見張っていた勇之助たちは、満塁軒にその誘拐犯が現れたと聞いて、急行する。あずき父の活躍で取り押さえた誘拐犯は、意外な事実を話し始めるのだった。 |
| まさかこの作品でここまで手の込んだ物語が展開するなんて、誰が想像したでしょう。25分の枠の中でこうした濃厚な展開を詰め込むのは、もともとそういう趣向の作品でも実に難しい。それを難なくやってのけて、しかも「あずきちゃん」らしさはみじんも失われていない。確かに本来の「あずきちゃん」ではないかもしれませんが、作品全体の完成度の高さを示す格好のエピソードとして、この回のお話は異彩を放っています。 今回の物語はジェットコースターそこのけの急展開を何度も見せてくれますが、その場面には必ず子供たちのごく普通の動作がついて回ります。その中でも、怪しい男に(あずきではなくて)ヨーコの家の電話番号を教えたケンは、その機転たるやたいしたもので、ヨーコの悪知恵さえなければ最大の功労者でしょう。要所で光る勇之助の名推理はこれまでも何度か登場しましたが、そのきっかけになるがだいずの目撃談というのが、この作品ならではの楽しさですね。 そうした子供たちの所作を全て飲み込んでしまうヨーコの活躍(?)もすごい。おいおい、あんたには勇之助がいるんじゃないの、と声をかけたくもなるのですが、ここのところは「あずきでーす!」と懸命にぶりっ子(死語)する彼女の姿を堪能しようじゃありませんか。男からおいしい汁をどんどん吸い取ろうという狙いは悪いとは言いませんが、この作品らしく、最後にきちんと勘定が回ってきます。そんなヨーコを「10年早い」と評するケンこそ、実に美味しい。でも、10年後のヨーコもきっと同じことをやってそうで…。こんな愛娘の姿を、ヨーコママはどんな思いで見ていたのか、考えると面白い、もとい、ちょっとかわいそうにもなってきます。とうとうヨーコを見つけたときの電話の鬼気迫る台詞回しはお見事でした。 そして何と言ってもあずきの父の活躍ぶりが、今回の最大の見どころでしょう。大学でののんびりした仕事ぶり、「私でお役に立つかどうか」とヨーコママにおっとりと答える姿、そして誘拐犯(笑)を怒鳴りつける姿。こういうお父さんの姿、ステキじゃないですか。大学に届けものをしてくれたあずきと勇之助を、さりげなくカフェテリアに誘ってくれるあたりも、大人の味です。そういう描写に仕上げをかけるように、ケンの父が話します「(あずきのお父さんは)教授や助教授に一番信頼されているからさ…」子供たちではなかなか見抜けない大人の世界の真実を、こうしてきちんと話してくれるキャラクターがいることで、この作品は極上の仕上がりを見せました。そう、ケンの父の仕事っぷりにも、ぜひご注目ください。誘拐犯にびくびくしながらラーメンを出す姿も、お忘れなく。 あずきの父の大学の描写は、学生の雰囲気がやたらとリアルでちょっと驚きました。今回あずきは勇之助と一緒に行ったのですが、これが後のエピソードのちょっとした伏線になってゆきます。 |
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