「あずきちゃん」第72話
どっちを選ぶ?
モギ店とモギテスト
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 片渕須直 |
| 演出 | 片渕須直 | 作画監督 | 芦野芳晴 |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ◎ | ☆ | ☆ | ◇ | ◎ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| 勇之助の母 | 藤本かをる | 応援団 | 舟津俊雄 |
| レスラー | 永野広一 | アナウンス | 小谷朋子 |
| ヨーコママ | （松本梨香） | ||
| アイキャッチ | あずき | 髪飾り | 橙・赤ビーズ |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 秋日和 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | なし |
| 交換日記 | なし | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | 勇之助くん、そんなの絶対ウソだからね! | ||
| あずきの父が、次の日曜日に大学で行われる学園祭の模擬店のチケットを持ってきた。友だちを誘おうとするあずきだが、その日勇之助は成り行きからヨーコと模擬テストを受けることに。さらにケンとかおるも同じテストを受けるらしい。テストに備えて懸命に勉強する勇之助の姿に、あずきは自分がお邪魔虫なのかと不安に感じる。大学祭当日、あずきはトモちゃんに頼まれてまことと一緒に行くことになった。模擬店を楽しむ二人。そこにテストを抜け出したケンとかおる、さらにトモちゃんがやってきて、みんなは大騒ぎ。大学祭を満喫した一同だったが、あずきは勇之助と一緒に楽しみたかったと少し残念に思った。翌日、あずきは勇之助から模擬テストの意外な真相を打ち明けられるのだった。 |
| 私が子供の頃、周囲で私立中学を受ける同級生なんて同学年200名に１人いるかどうかでした。今でも実家のあたりではそうかもしれませんが、ここ、東京では3人に1人以上は私立中学を受験するとか…。すごい時代になったと思うのですが、そんな姿を先取りするようなエピソードが登場します。これがどこまでも「あずき色」に染まっているのが、とても心地よいのです。 とにかく、模擬テストに学園祭をくっつけるという制作サイドのアイデアがすばらしい。単にサブタイトルのネタにとどまらず、お話を膨らませる重要な伏線として機能している点が巧いのです。主題とは全く関係ないところで作品を勝手に盛り上げてくれるまことの活躍を存分に楽しみましょう(笑)。あずきの父ならずとも、あのスタイルには仰天するでしょうし、ケンと二人でリングに乱入するエピソードもいいですね。ここで、食事の差し入れを持ってきたあずきたち女の子を見て、大学生が「彼女?」と突っ込むのですが、照れるあずきやかおるとは対照的に、にっこり微笑むトモちゃんの姿が、何ともいいのです。 こちらがここまで盛り上がると、本来のエピソードたる模擬テストの方も気合いが入ります。テスト前、一心不乱に勉強する勇之助の姿に、自分の存在理由を悩むあずきは、ちょっと痛々しい。これ幸いとヨーコが勇之助にランデブーしても、それを認めるしかない自分の姿を、あずきはどんな風に感じていたのでしょう。勇之助は図書館に誘ってくれたけど、そんな彼の気遣いすら、あずきには不安に感じてしまうようです。 そして、エピソードの種明かしというごく普通の展開が登場するのですが、ここの味わいが毎度ながら実にすばらしい。最初に勇之助とヨーコの関係を決めるのですが、彼の意外な告白にボーゼンとなるヨーコの描写には、思わず見とれてしまいました(独白を入れるかおるもお見逃しなく)。 その後、いつもの道を並んで帰るあずきと勇之助のシークエンスを、私は何度見たでしょう。どんどん不安が膨らむあずきに、勇之助はまたも意外な告白をします。「あずきといっしょにいたいからなんだよ」…言われてみれば、いかにも彼らしい言葉なんですが、それを真正面から相手にぶつける姿に、彼の魅力を感じます。 勇之助はさらに言葉を続けます「うちのオヤジが子供の頃には、塾の替わりにひろーい原っぱなんてのがあってさ、毎日真っ暗になるまで遊んでたもんだ、なんて自慢するんだけど、オレたち生まれてくるのが遅かったなんて、全然思わないよ、な!」…これはむしろ私達大人に向けたメッセージなのでしょうか。こういう言葉を屈託なく話せる子供たちがごく普通にいるような、そんな社会であってほしいと、心から願うものです。 …それにしても、模擬テストでは、ケンちゃん、役者っぷりがまたあがりましたね(笑)。横の席の懐かしいゲストキャラにもご注目あれ。 |
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