「あずきちゃん」第73話
わるい思い出!?
一日だけの転校生
| 脚本 | 雪室俊一 | 絵コンテ | 小寺勝之 |
| 演出 | 小寺勝之 | 作画監督 | 平田かほる |
| あずき | 勇之助 | ヨーコ | ケン | まこと | だいず |
| ☆ | ◎ | ◇ | ◎ | ◇ | ◇ |
| ジダマ | かおる | トモちゃん | 多胡先生 | あずき母 | あずき父 |
| ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ |
| キャラ | 声優 | キャラ | 声優 |
| ☆藤巻拓 | 三木眞一郎 | ユミ | 樋口雅子 |
| 男子生徒 | 東さおり | △(ケンの父) | |
| アイキャッチ | かおる | 髪飾り | 橙 |
| 学校行事 | 特になし | 教室の習字 | 師走 |
| 給食主菜 | なし | 満塁軒 | タクが来るが定休日 |
| 交換日記 | なし | ユイ | 登場せず |
| 次回予告 | ええ、船上パーティー!? 勇之助くん、それホント!? | ||
| ある日あずきたちが登校すると、見知らぬ男子が教室にいて、ちょっとした騒ぎに。この男子は藤巻拓…タクちゃんといって、1年生の時あずきの悪ガキ同級生だった。静岡から北海道に引っ越す途中、1日だけみなみ小学校にやってきたのだ。あずきはオレのフィアンセだと昔の話を持ち出すタクにあずきは焦ってしまう。それにもう一人…。タクは昼休みにいなくなったのだが、彼はあずき母の誘いで一晩泊まる事になり、あずきはパニックに。タクは満塁軒に立ち寄り、ケンと昔の決着をつけようとけしかけるが、その話をかおるが聞いてしまった。翌朝、二人のケンカをなんとか止めようとあずきとかおるは二人の姿を探すが、タコ公園にいたのは、タクの手紙を握りしめたケン一人だった。 |
| この作品では何回かゲストキャラが登場する話がありますが、その中でも今回のお話は特別でしょう。わずか1度きりの登場となるタクちゃんの、この作品らしからぬ破天荒な振る舞いが、むしろ作品世界にベストマッチを見せ、この作品を文字通り代表する、珠玉のエピソードを生み出しています。 1年生の時の出来事の数々を、あずきはもちろん、タクやケンもちゃんと覚えている…それどころか、今でも十分に気にかけているという設定は、とても興味深い。さすがに今ではケンちゃんはあずきを好きとは思っていませんが、それでも十分に気になる女の子である事に違いありません。そしてずっと前に転校したタクは、今でもあずきの事が…。 ここで勇之助の存在がさりげなく描かれる事で、タクは事の次第に少しずつ気づいてゆきます。華麗な鉄棒を披露する勇之助を見つめるあずきの表情や、あずきの家での二人の様子などを通して、タクは二人の間柄を知るのですが、タクは勇之助がどんな人物かを知りません。そこで彼は勇之助を食事に誘い、一緒に風呂に入ります。そして…。家に帰る勇之助を見送りながら「いいヤツだな」とそっとつぶやくタクは、実にいい男です。あずきも、そしてもちろん勇之助も、タクの気持ちに気づく事はありません。 そして翌朝、ケンはタクに待ちぼうけを食らったあげく、捨て台詞入りの手紙を読む羽目になってしまいます。ケンはタクが何を知って、何を感じたのか、手紙を読んだ瞬間に全て悟ったに違いありません。だけどケンは、そのことを誰にも言いません。それが男の甲斐性というものですが、自分にそういう役回りを押し付けて勝手に去ってしまったタクに対して、何もしてやれなかった事が、ケンにとっては一番悔しかったのかもしれません。彼がこのお話で2回口にする「あの野郎、カッコ付けスギだぜ!」という言葉の、微妙な味わいの違いこそ、この作品の真骨頂と言えるでしょう。ケンも本当にいい男になったものです。 これだけハードな男の物語を演じられると、さすがにあずきたち女子はそこに入る余地がありません。ジダマやヨーコに至っては、事実上出番が回ってきません。あずきはケンとタクが何を決着するか、とうとう知る事なく終わってしまいます…1年生の時と同じように。この作品にしては極めて珍しく、知らぬは女子ばかりという演出が、他のお話には見られない独特の余韻を備えており、今回の価値を際立たせています。また、よくわからないまま、とにかくケンが心配で仕方がないかおるちゃんの一途な行動が、とても印象的です。 あずきの家での一連のシークエンスは、いつもながら団らんの雰囲気が上手くでていて、そこにタクと勇之助が自然にとけ込んでおり、実に心地よかったですね。そして、お風呂と言えばお約束、というのをこの作品が逃さなかった点にも、ぜひご注目ください。タクちゃん、あんたちょっと落ち着きすぎ(笑)。 |
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