どこかの町を歩いてみよう(その1)

でも、そんな施設や観光名所を見て回っても、その町の本当の姿は決して見えてきません。町をそのまま味わおうと思うなら、気取らずにのんびり歩く…つまり、散歩するに限ります。幸い、どこかの町はそれほど広くありません。地図に頼らず、町の息吹を感じてみましょう。 ※どこまで設定資料があったかどうかはともかく、作品中ではこの町の地理はかなり曖昧に描かれています。このページはそうした地理状況を特定の場所に貼りつけることを目的としたものではありません。 ちょっとした都会の駅といった感じの駅舎からしばらく歩くと、やがて町いちばんの繁華街に出ます。とはいっても高層ビルや大きなデパートがあるわけでもなく、古い都会の街並みが連なる中に、のんびりと昔ながらの商店が軒を並べています。ちょっとくすんだ色の屋根や古びた家の壁は、どこかしら寂しい雰囲気を感じます。ショーウィンドウを眺めるとちょっぴりお洒落だけど、かといってやたらと高級でもなさそうな服が並んでいたりします。 表通りから1本はずれると、突然場末の歓楽街に突き当たります。また、貧しい人達の住む町も見えてきます。薄汚れた家々の壁を見ると胸が苦しくなります。が、そこでも人々の暮らしが営まれている事に気づきます。 繁華街の途中に小さな広場があります。冬になると…この町の冬は、海沿いにあるにもかかわらず、やや厳しいようです…この広場の樅の木はクリスマスツリーに変身して、サンタクロースのおじさんが登場します。また、このあたりは海から一段高いところにあるのですが、そこここに港へ抜ける坂道があり、しばらくすると海沿いの公園や波止場が見えてきます。また、この坂道の途中はちょっとした住宅街になっていて、そこから眺める海の景色はとてもすてきです。

波止場から海岸線沿いに歩くと、幾つか川があることに気づきます。どれでもいい、川を気ままに遡ると、やがて必ず公園が見えてきます。この町の中心部を少し離れると、たくさんの公園が整備されていて、多くの人たちがそこでくつろいでいます。公園には必ずといっていいほど噴水があり、子供たちが遊んでいます。 その中でも、比較的海から近いひときわ大きな公園は、モモとアルベールが連れ添って歩いたところとして有名です。モモも食べていた名物のクレープをほおばりながら、きれいに整備された小道を通り抜けると、そこは川のほとりの大きな林。人通りの少ないこのあたりは、身近に自然の息吹を感じることができます。 公園を抜け、川沿いに歩みを進めると、やがて落ち着いた住宅街の一角にあるモモの住んでいたペットショップが見えてきます。モモの家族がロンドンに引っ越してしまったのは皆さんご存じの通りです。家の住人は変わっても、ペットショップは健在のようです。 この通りから再び繁華街の方へ歩みを進めると、今度は噴水のきれいな公園が見えてきます。ここには運動広場があって、子供たちが野球やサッカーをして遊んでいます。そう、そこに見えるフェンスを越してきたボールを追って、モモは事故にあったのでした。 その近くには、モモがたまに通っていた小学校があります。校舎のベルがおしゃべりしているのが聞こえてきそうですね。さらに進むと、高台にも公園が幾つかあるのが見てとれます。ここまで来れば、最初の駅まではもう一息。賑やかな繁華街はちょうどお昼時、ちょっとお腹も空いたので、ここで一休みしましょう。