今回の戦闘には苦い教訓が込められています。今ジェイナスのいる宇宙域の制空権ならぬ制宙権はククト側が握っていました。その状況下で救難活動を行うときは、たとえ敵が確認されなくても、十分な戦力を投入する必要があります。ケイトはフル装備のパペットファイターで現地へ向かい、ロディのバイファムも掩護についたのですが、現在の軍事セオリーでは、これでは全く戦力不足であり、実際子供たちとケイトは最悪の結果を迎えてしまいました。 では、戦力を増強するため、例えばマキをパペットファイターで出撃させなかったスコットに責任があるのでしょうか? …答はおそらく否でしょう。スコットは訓練を受けた戦闘指揮官ではないのです。彼に戦闘救難の困難さなど知る由もありません。また、当時の子供たちで、ロディとバーツの他にジェイナスを離れても戦力となる者がいたでしょうか。 現在進行中の軌道変更を成功させるため、そして十分に予想されるジェイナスへの敵の攻撃に対処するため、バーツはジェイナスに残る必要がありました。そうしたロディやスコットの判断は、二人にとってはベストなものであり、それを責めることは誰にもできません。 さて、実際の戦闘中、ケイトは上手く立ち回ります。戦闘能力の高いバイファムを盾として用いることで、パペットファイターは多少余裕を持ってカチュアの飛行艇をジェイナスへの帰還軌道に乗せることに成功します。その後ファイターは反転しバイファムの掩護に回ります。こうしたファイターのフットワークを活かした機敏な行動が、厳しい戦況の中でのカチュアの救出につながりました。 ここで問題だったのは、ロディが結果としてARVを3機とも前方(ジェイナス側)に逃していたことです。もし彼がきちんと役目を果たし、最後までARVを自分の後ろに引き止めていたら、例えばジェイナスの支援砲撃も早い段階から可能になるはずで、この戦闘は大きく変わっていたかもしれません。 でも、それもこれも所詮は結果論。子供たちを責めることは、私にはとてもできません。 なお、ケイトはパペットファイターのロケット弾で一種の煙幕を展開しますが、宇宙空間でこうした現象はまず起きないということを、念のため指摘しておきます。 |
|
|
|
|
|
