| ここで、アイドルアニメの演出としてやろうと思えばいくらでもできたはずの、セクシー(エロ)視線や縁と奈々子の百合路線をほとんど出さなかった演出サイドの配慮を、私は讃えます。 女子校生がアイドルまがいのお仕事をするというだけで、当然色っぽい場面が山盛りになっても不思議ではないし、実際そんな作品もありました…余談ながら、どれとまでは言いませんが、「パンツに始まり、パンツに終わった」作品のある種の潔さにはずっこけたものです→あの出来で第2期できるんだから、日本のアニメ産業は暢気なものだと、マジメに思います。 この作品でもそういう場面が皆無というわけではありません。でもそれはあくまでも控えめで、セクシーというよりは高校生ならではの健康美という言い回しがふさわしいものでした。 とにかく縁がナイスバディ過ぎるので、何をやらせてもセクシーさが漂うのは確かですが、決して下品にはならない(そういうところもお嬢様)。奈々子も含めて、いわゆる「男性視線」で描かれる時は必ず何らかのネタが込みになっているため、最近の作品にありがちなセクシー/エロの押し売りが一切なかったことが、この作品の清々しさに大きく寄与していると、私は思います。 ネタといえば、ななちゃん大好きな縁の言動は、一歩間違えると百合趣味全開になりそうです(第5話で「ななちゃんともっと親密になりたい」とキャラが崩壊するのは楽しかった)。縁は奈々子との初対面でいきなり抱きつくという衝撃的なデビューをしたので、もうそっちに走るしかないと視聴者は想像してしまいます。第2話の「むちゃゆり」、第4話の「ヘンタイさん」と、本人もちょっとは自覚している描写もあります。 でも縁のそんな行為には彼女なりの思いがあることが描かれ(第9話)、彼女が奈々子との出会いをどれだけ大切にしているかが浮き彫りになります。それが第12話での「ぎゅっ」に凝縮され、さらに奈々子の「お返しです!」に結びつくわけで、この一連の流れは、百合芝居を逆手に取った、二人の絆の成長を描いた見事なサイドストーリーといえるでしょう。 よく考えてみると、第1話の水着シーンを皮切りに「サービスシーン」というべき場面はたくさんあるのですが、それが全然下衆な視点に堕ちていない。これはすごいことだと思うのです。いやはやあっぱれ! こういう健全お色気描写は大歓迎です。 作品中で唯一描かれたそれっぽい描写は、奈々子が感じ続けていた胸のコンプレックスでしょう。というか、縁さんの胸が大きすぎる＋柔らかすぎるわけで、奈々子はまるで無防備な縁の「女性」の部分に最初から翻弄され続けます。第12話の「お返しです!」は、初めて奈々子の方から縁に反撃(笑)した場面であり、そういう点でも奈々子は成長したなぁと感じずにはいられません(何のこっちゃ)。 また、典型的なトランジスタガールであるゆい先輩や、これまた典型的な幼児体型のみらいちゃんという「魚心くんの中の人」ペアも、奈々子にとっては「胸」がスタートだったんですよね。そういう描写がシモに向かず、女の子としてのごく普通の視点として描かれていたことは、作品の品格(あえてこう書きます)に大きく貢献しています。 それにしても、魚心くんの中の人にチャレンジした縁さんの(以下略)… |
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