もともと私はコミックを読むことがありません。そのため、コミック原作つきアニメという分類は私個人にはほとんど意味を持ちません。ところで、そんな私がおよそ3年ぶりにコミックを買ってしまったのが、この作品の原作コミックです。とりわけ最終第9巻は、私が生まれて初めて発売初日に買ったコミック単行本となりました(爆笑)。それはただ、アニメが妙に私の波長にあってしまったからに他なりません。結果的にこの作品とは、先にアニメから入り後になって原作に触れるという、本来とは逆の形で向き合うことになりました。
三十路真っ只中の男が語るのも変な話ですが、原作はこれ以上ないというほどの恋愛物語の王道がベースになっています。もしこのコミックがそれだけであれば、私はとてもじゃないがこの作品にはついていけなかったでしょう。
そこにルゥという異星人の赤ちゃんがいることで、このコミックは俄然輝きを増し、小学生の女の子以外でも鑑賞に耐え得る作品に進化しました。単にお年ごろの女の子と男の子が二人きりで生活することに加えて、ある種の特異点を抱え込むことによって、物語は独特の緊張感とドラマ性を獲得します。「シチュエーション・ラブコメディ」という分類がぴったりなこのコミックは、恋愛以外の要素を舞台に大胆に組み込むことで、世界を格段に広げたのです。
でも、その舞台の中心にあったのは、ほとんど常に未夢と彷徨の心の触れ合いであり、それがいつしか好きという感情へと進化していく様でした。未夢から見る彷徨は確かにちょっとかっこいいけど、自分勝手で冷たいし何考えているのかぜんぜん分からないし…だけど、確かに私のことを考えてくれているんだ。未夢がそう感じる瞬間の積み重ねが、このコミックの一番大切な部分であり、読者の女の子たちが胸をときめかせる場面だったことでしょう(と想像します)。