| そして巧みなブリッジを用いてエピローグが始まります。この部分は原作のフィナーレを強く意識したものになっています。4＋1人が再会を果たし、サブタイトルが「また会えたね!」に変わり、この作品は幕を閉じます。この場面にももかがいたことでも明らかなとおり、「また会えた」＝「絆が再びつながった」ことがこの作品にとってもっとも重要なことだったのです。言い換えれば、未夢と彷徨がいつの間にか結婚したことはアニメ版にとってはさほど重要ではない(!)ということでもあります。単に絆が深まったのを、夫婦という形で表現しただけに過ぎません。 もちろん、視聴者は二人が結婚したことを「やっぱり」と思い、心から祝福するのですが、その一方で「そのなれそめはどうなっているの?」と知りだがるはずです(私もその一人です)。だって、それを描くのが恋愛モノじゃないですか。だけど、アニメ版ではこの肝心な部分を全く描かないままに終わってしまいます。 この点が、アニメ版と原作の最大の違いでしょう。あくまでも「ラブ」の部分を重視した原作に対して、次第にラブから「コメディ」へと物語の軸足を移したアニメ版は、似たようでかなり異なる作品になったといえるのかもしれません。その変化を自然なものとするため、「絆」という視点がクローズアップされ、その中に二人の恋愛物語を組み込んだというのが、アニメ版だぁ!×３ではないでしょうか。 |
| こうしてみると、アニメ版第1と第2シーズンの間の微妙な変化がよく理解できるように思えます。より原作を意識して作られている第1シーズンは、未夢の心の動きを中心にして二人の微妙な心のゆれを比較的こまやかに描いています。第2シーズンになると、既に確立された二人の世界をベースに、コメディタッチのエピソードを織り込むことで、アニメ版ならではの世界を描き出そうとしています。二人の気持ちは第1シーズンほど細かく描かなくても、ちょっと触れるだけでもうお分かりでしょう? ということなのかもしれません。 ただ、個人的には第1シーズンの描写のほうが圧倒的に作品の本質に近いと感じます。二人の恋物語を堂々と描きつづけたことが、コミック版の最大の魅力です。本来はその調味料であるはずのコメディの部分をメインディッシュにすえたアニメ版第2シーズンの演出は、どうも原作からの乖離が大きく、私にはしっくりこないのです。2年目ならではの、より踏み込んだ心の動きの描写があってもよかったのではないか、とちょっと贅沢な思いが消えません。でも、これは個人の好みの問題なので、ここだけを捉えて作品の評価を決めるのはあまり正しくないでしょう。 不満がないといえば嘘なのですが、魅力あるキャラクターの動きと緩急を巧みに使い分けた物語進行は、そうした不満を補ってなお有り余るものがありました。この作品にある独特の心地よさは、簡単そうでもなかなか描き出せるものではないでしょう。それを私は大切にしたいと思っています。 |
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