| ◆未夢とお子様彷徨(第73話) 通販星から届いた「お子様ビスケット」を食べた彷徨は子供の姿になってしまう。それでも三太たちとの約束で映画を見に行った彷徨だが、帰りに立ち寄ったデパートでさらに幼くなってしまった。未夢は彷徨を懸命に探すが… 第2シーズンでは「絵本の中でシンデレラ(第45話)」も捨てがたいのですが、ここではアニメ版オリジナルストーリーを取り上げてみました。先に述べたとおり、第2シーズンはコメディの色合いが強い回が多く、私自身はちょっと戸惑うことが多かったのですが、この回は一味違います。 前半、いつになくおっちょこちょいでわがままな彷徨が描かれます。そんな彼の姿は原作ではまずお目にかかれない、アニメ版ならではの描写で、原作ファンにはちょっと受け入れ難いかもしれません。でも、多少の危険を冒しても映画に行くと言い張る彷徨は、私達の身近にいる、親しみやすいキャラクターだとは思いませんか? その姿は普段そんな言動が多い(かも知れない)未夢の鏡像でもあります。二人ともいい意味で普通の中学生なんだな、と感じさせてくれます。そんな二人がクラスメートと丁々発止のやり取りを続ける前半は、楽しい学園コメディです。 |
| ビスケットが効きすぎて幼稚園児になってしまった彷徨が西園寺を目指すシークエンスでは、作品中でも珍しい彷徨の心情表現の独白が続きます。今まで彼の口から自分自身の感情を表す言葉が出ることが少なかっただけに、このシークエンスは一層印象的です。普段のちょっと肩に力が入った彷徨とは違う、自然体の彼の台詞は私達をはっとさせます。ところが、ここで彷徨はついに1歳児に!! 言葉を失う彷徨ですが、それでもハイハイで道を進もうとするあたり、いかにも彼らしいですね。 ようやくルゥに発見された彷徨ですが、そこにカラスが襲いかかってきます。ももかの雄姿は見ものなのですが、ここでまたも彷徨は幼くなり、ついに赤ちゃんになってしまいます。動転するももかたち。もう絶体絶命! という時に未夢が登場し、彷徨たちは無事助けられました。このシーンで泣き出す赤ちゃん彷徨を抱き上げる未夢の不安げな表情がすばらしい。それは未夢がまだ中学生であり決して母親ではないことを私たちに示してくれます。その不安が、続くシークエンスを支えます。 |
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